フェーズフリーな暮らし
備えるために、我慢しなくていい。
非常用に買って、しまい込んで、期限が切れて捨てる。そんな備え方は続きません。いつも使っているものが、そのまま非常時にも役に立つ——この考え方を「フェーズフリー」と呼んでいます。日常が心地よくなるほど、備えも整っていく。その視点をまとめました。
「特別な備え」より、「いつもの暮らし」を選ぶ理由
防災グッズを一式そろえた。押し入れの奥にしまった。それきり開けていない——長年の現場経験のなかで、こうしたお話をうかがう機会は少なくありませんでした。準備そのものは間違っていません。ただ、非常時にしか使わないものは、非常時に使えないことがあるのです。置き場所を忘れ、期限が切れ、使い方も思い出せない。
一方で、毎日使っているものは違います。どこにあるか手が覚えていて、使い方に迷いがなく、中身も新しい。だから、備えを「増やす」のではなく、いつもの持ちものを「選び直す」ほうが確かなのだと考えています。
そしてこの考え方のいいところは、我慢がいらないことです。心地よさやおしゃれさを削らずに、結果として備えになる。それがフェーズフリーという言葉に込めた意味です。
読み進め方
6つの章に分けています。気になる季節や場面のところから読んでいただけます。
なぜ「備えられない」のか、から考える
備えが進まないのは、意志が弱いからではありません。人の心にはもともと、そう感じるようにできている仕組みがあります。そこを知っておくと、自分を責めずに一歩を踏み出せます。
季節ごとに、暮らしを整える
一年を通して、季節の変わり目ごとに意識したいことをまとめたシリーズです。いつもの支度に少し視点を足すだけで、その季節を心地よく過ごせます。
体調のサインに、早めに気づく
暑さや寒さ、季節の移り変わりは、思っているより体に負担をかけています。無理をしない範囲で、気づき方を知っておきます。
食べることから、整える
毎日の食卓にあるものが、そのまま体を整え、備蓄にもなっています。国際中医薬膳士の視点も交えて、身近な食材の使い方を紹介しています。
家と暮らしまわりを、整える
部屋を心地よくする工夫が、そのまま安全につながっていることがあります。インテリアや片づけの延長として取り組めるものを集めました。
道具と技術を、暮らしの延長で身につける
キャンプや物干し、荷造りといった場面で使う技術も、手が覚えていればそのまま役に立ちます。趣味の延長として、気が向いたときにどうぞ。
今日からできる、3つの小さな一歩
全部を一度に整える必要はありません。まずはこの3つからで十分です。
いつも使っているお気に入りの道具を、ひとつ見直してみる
よく食べる食材を、少しだけ多めに買っておく
季節の変わり目に、家のなかを一度見回してみる
心地よさを我慢して備えるのではなく、心地よくすることがそのまま備えになる。その積み重ねが、いちばん長く続く備えだと考えています。