免疫を整える食材、実は備蓄にも向いていた
STEP3|暮らしの設計図
免疫を整える食材、実は備蓄にも向いていた
免疫を意識した食材選びと、備蓄のための食材選び。実はこの2つ、驚くほど重なる部分があります。
国際中医薬膳師の視点も交えながら、日常の食卓がそのまま備えにつながる食材の選び方を、長年の消防活動の経験も踏まえて、今日は一緒に整理していきましょう。
30秒でわかるまとめ
このページが目指すこと
特定の食材が病気を防ぐと断定することが、この記事の目的ではありません。日々の食材選びの視点を少し広げ、日常の食卓と備えが自然につながる考え方をお伝えすることが目標です。
今日はまず、中医薬膳における食材の見方から一緒に確認していきましょう。
この記事でわかること
- 東洋医学(中医薬膳)における「温性・涼性」食材の考え方
- 生の生姜と、加熱・乾燥させた生姜で、体への働きが変わる理由
- 体験談・東洋医学・西洋医学、3つの視点が同じ方向を示すときの考え方
- 免疫を意識した食材選びと、備蓄に向いた食材の共通点
- 季節や体調に合わせた、生姜の使い分け方
- 子どもの腸内環境と食生活とあわせて考える視点
「免疫にいい食材と、備蓄にいい食材って別々なの?」
実はこの2つ、重なる部分が多いんです。
体を温めるとされる食材には、日持ちしやすいものが多いので、意識して選ぶだけで両方につながっていきますよ。
体を温める食材と、日持ちする食材は、実は重なっている
寒い時期に食べたくなる生姜やねぎ、ほっとする根菜の煮物。おいしいから、体があたたまるから、という理由で選んでいる食材ではないでしょうか。
「免疫のために食材を見直しましょう」という入口だと、なかなか続きません。でも「おいしいから」「ほっとするから」という理由で選んでいる食材が、実は日持ちしやすく備蓄にも向いていた——そんな順番なら、無理なく続けられます。
好きで選んでいた食材が、気づけば備えにもなっていた。それが、この記事でお伝えしたい考え方です。
生姜を効かせた汁物を飲むと、なぜか体が温まる
寒い時期、生姜を効かせた汁物や生姜湯を飲むと体が温まる。それは、多くの人が当たり前のように知っている感覚ではないでしょうか。
実際、なぜ温まるのかと聞かれたら、「生姜だから」「昔からそう言われているから」と答える方がほとんどだと思います。それ自体、間違いではありません。
ただ、この当たり前の感覚には、生の生姜と火を通した生姜とで働きが変わるという、もう一歩踏み込んだ理由があるといわれています。
ここからは、東洋医学と西洋医学、それぞれの視点から確かめていきましょう。
食材選びを、東洋医学(中医薬膳)と西洋医学・栄養学、両方の視点から見ていきます。一方だけに偏らず、両方の視点を知っておくと、日々の食材選びがより納得できるものになります。
1つ目|東洋医学(中医薬膳)の「温性・涼性」という考え方を知る
中医薬膳の考え方では、食材にはそれぞれ体を温めるとされる「温性」、冷やすとされる「涼性」、その中間の「平性」という性質があるとされています。特定の食材が病気を防ぐという意味ではなく、季節や体調に合わせて食材を選ぶための、昔からの知恵の一つです。
生姜・ねぎ・にんにく・かぼちゃ・ごぼう・にんじんなど。寒い季節によく使われる食材には、温性とされるものが多いといわれています。中でも生姜は代表的な温性食材とされ、体を温め、発汗を促す食材として古くから料理に使われてきました。
東洋医学では、生の生姜(生姜/ショウキョウ)と、加熱・乾燥させた生姜(乾姜/カンキョウ)を、昔から使い分けてきました。生の生姜は体の表面を温めて発汗を促す働きがあるとされ、加熱・乾燥させた生姜は、体の内側をじっくり温める働きがあるとされてきたといわれています。同じ生姜でも、生か火を通すかで役割が変わると考えられてきたわけです。
2つ目|西洋医学・栄養学のエビデンスも合わせて見てみる
東洋医学の視点だけでなく、西洋医学や栄養学の視点からも、これらの食材の位置づけを見てみましょう。厚生労働省が推進する「健康日本21」では、1日350gの野菜摂取が目標として示されており、根菜類や乾物はその摂取量を無理なく満たす助けになる食材です。
生の生姜には、辛み成分の一つであるジンゲロールが多く含まれています。ジンゲロールは、手足など体の末梢の血管を広げる働きがあるとされ、生の生姜を食べると手足がじんわり温まる感じがしたり、一時的に発汗が促されたりするのは、この働きによるものだといわれています。
生姜を加熱したり乾燥させたりすると、水分が抜ける反応(脱水反応)によって、ジンゲロールの一部がショウガオールという成分に変化するといわれています。ショウガオールは、胃腸のあたりを刺激して血流を促し、体の深部体温をじわじわと高める働きがあるとされています。効率よく変化させるには80℃前後でじっくり火を通すのがよいとされ、スープや味噌汁、生姜湯のように「火を通した状態」で取り入れる食べ方は、この変化を活かした食べ方だと考えられています。
東洋医学が、生の生姜(生姜)と加熱・乾燥させた生姜(乾姜)を昔から使い分けてきたことと、この成分の変化に関する研究が、結果として同じ方向を示しているのは興味深いところです。
特定の食材が病気を防ぐと証明されているわけではなく、あくまで栄養バランスを整える食材の一つとして捉えるのが基本です。発酵食品と腸内環境の関係についても研究が続けられている分野ですが、断定的な効果ではなく、あくまで研究段階の知見として参考にとどめてください。東洋医学的な視点と栄養学的な視点、どちらか一方に偏らず、両方を参考にしながら日々の食卓を整えていくことをおすすめします。
体験・東洋医学・西洋医学、3つの視点が同じ方向を示している
ここまでを振り返ってみましょう。誰もが当たり前のように知っていた「生姜を効かせた汁物で体が温まる」という感覚。その中身は、火を通した生姜についての話でした。東洋医学では、加熱・乾燥させた生姜(乾姜)は体の内側をじっくり温めるとされてきました。西洋医学的には、生姜を加熱するとジンゲロールがショウガオールに変化し、体の深部体温を高める働きが強くなるといわれています。出発点はそれぞれ違いますが、「火を通した生姜は、体を芯から温める」という結論は同じ方向を示しています。
ひとつの視点だけで判断するのではなく、体験・伝統的な知恵・科学的な知見という複数の視点が同じ方向を示しているとき、その情報はより納得できるものになります。この記事で生姜を例に取り上げたのも、そうした重なりがわかりやすい食材だったからです。
3つ目|免疫を意識した食材と、備蓄に向いた食材の共通点
生姜やにんにくなどの香味野菜、ごぼうやれんこんなどの根菜、切り干し大根やひじきなどの乾物、味噌などの発酵調味料。これらは東洋医学・西洋医学どちらの視点から見ても納得できる食材であると同時に、もともと日持ちしやすく、備蓄にも向いている食材でもあります。
香味野菜(生姜・ねぎ・にんにく)、根菜類(ごぼう・れんこん・にんじん)、乾物(切り干し大根・ひじき・干ししいたけ)、発酵調味料(味噌・醤油)。いずれも普段の料理でよく使う食材です。
4つ目|季節や体調に合わせた、生姜の取り入れ方
特別なレシピを覚える必要はありません。生姜は、生のまま使うか、火を通すかで使い分けられる、季節を通して活躍してくれる食材です。
さっぱりといただきたい時期や、薬味として少し添えたい時は、すりおろした生の生姜を冷奴や素麺に。体を芯から温めたい寒い時期や、冷えが気になる場面では、生姜を効かせたスープや味噌汁、生姜湯のように火を通して取り入れる。同じ生姜でも、調理の仕方を変えるだけで、季節に応じた使い方ができます。
使いながら買い足していくローリングストックの考え方は、食材選びにもそのまま活かせます。日持ちする食材を少し多めに常備しておくと、料理の幅も広がります。
国際中医薬膳師の視点でも、栄養学的な視点でも、体を温める・栄養バランスを整える食材を日々の食卓に取り入れることは、季節の変わり目の体調管理につながる工夫の一つだといわれています。東洋医学と西洋医学、どちらか一方が正しいということではなく、両方の視点を知っておくと選択の幅が広がると感じています。
「免疫のために」と身構えるより、「おいしいから」「ほっとするから」という理由で食材を選ぶ方が、結果的に長く続けられると感じています。
今日からできる、3つの小さな一歩
すべてを一度に見直す必要はありません。まずは1つだけ試してみてください。
今日の食事に、生姜やねぎなど温性とされる食材を一品取り入れてみる
家にある乾物や根菜が、備蓄としても活用できることを確認してみる
次の買い物で、日持ちしやすい食材を少し多めに選んでみる
まずは今日の食卓に、ひとつ加えてみるところから。それだけで十分な一歩です。
とらまるくんと考えてみよう
免疫とか備蓄とか、難しく考えなくても大丈夫です。普段の食卓を少し意識するだけで十分です。
好きな食材を選んでいたら、気づけば備えにもなっていた。それくらい気軽に考えてもらえたら嬉しいです。
免疫と薬膳の食材選び よくある質問
温性・涼性の食材って、具体的にどう見分ければいいですか?
生姜やねぎ、かぼちゃなど、寒い季節によく使われる食材は温性とされることが多く、きゅうりやトマトなど夏によく食べる食材は涼性とされることが多いといわれています。季節の食材を意識するだけでも、自然な目安になります。
生の生姜と、加熱した生姜は、どちらを選べばいいですか?
目的によって使い分けるとよいといわれています。さっぱりといただきたい時や薬味程度であれば生のまま、体を芯から温めたい時はスープや味噌汁などで火を通して取り入れる方法が向いているとされています。どちらが優れているというより、場面に合わせて選ぶ食材だと考えてみてください。
免疫力を高める食材を食べれば、病気にならなくなりますか?
特定の食材だけで病気を防げるわけではありません。日々の食事のバランスや生活習慣全体が大切だと考えています。この記事でご紹介する食材選びは、日常の食卓を整える一つの視点としてお役立てください。
なぜ体験談・東洋医学・西洋医学の3つを紹介しているのですか?
ひとつの視点だけで判断するより、出発点の異なる複数の視点が同じ方向を示しているときの方が、情報として納得しやすいと考えているためです。体験談だけでも、理論だけでも、どちらか一方に偏らないようにお伝えすることを心がけています。
乾物や根菜以外にも、備蓄に向いた食材はありますか?
味噌や醤油などの発酵調味料も、比較的長く保存できる食材です。普段から使い慣れているものを少し多めに備えておくと、無理なく備蓄につながります。
子どもの食事にも同じ考え方を取り入れられますか?
子どもの好みに合わせて、根菜を使った煮物やスープなど、食べやすい形にアレンジするとよいでしょう。子どもの腸内環境と食生活もあわせてご覧ください。
この記事のポイント
- 東洋医学(中医薬膳)の考え方では、食材には体を温める「温性」、冷やす「涼性」などの性質があるとされる。
- 生の生姜(ジンゲロール)は体の表面を、加熱・乾燥させた生姜(ショウガオール)は体の深部を温めるとされ、東洋医学の使い分けと同じ方向を示している。
- 生姜・根菜・乾物・発酵調味料など、どちらの視点から見ても納得できる食材の多くは日持ちしやすく、備蓄にも向いている。
- 生のまま・火を通してと使い分けるだけで、季節や体調に合わせて活躍する食材になる。
- 今日、まずは食卓にひとつ取り入れてみるところから始める。
まとめ
免疫を意識した食材選びと、備蓄のための食材選びは、まったく別のものではありませんでした。
「生姜を効かせた汁物で体が温まる」という誰もが知っている感覚、「生姜は体を温める」とする東洋医学の考え方、「加熱で体を温める働きが強くなる」という西洋医学的な知見。3つの視点が同じ方向を示していたことが、この食材選びの納得感を後押ししてくれます。生姜やねぎ、根菜、乾物。おいしいから、ほっとするからという理由で選んでいる食材が、実は体を温めるとされ、日持ちもしやすい。普段の食卓を少し意識するだけで、備えにもつながっていく。どれも特別な工夫はいりません。それが、この記事でお伝えしたかった考え方です。
今日、まずはいつもの料理に、温性とされる食材をひとつ加えてみてください。それだけが、無理なく続く食材選びを整える入口になります。
日常を整えることが、そのまま非常時の安心につながる。
とらまる
一緒に学ぶ仲間
白いしっぽの先がチャームポイントの、好奇心いっぱいのトラの子。わからないことは素直に「どうして?」と聞くのが得意で、みんなの「聞きたいけど聞けない」を代わりに聞いてくれます。
ふくぼう先生からもらった「まなびのスカーフ」が自慢です。
▶ とらまるのプロフィールはこちら ›関連記事
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