引越し先を決める前に、地図で確認したい3つのこと
STEP1|土地の設計図
引越し先を決める前に、地図で確認したい3つのこと
日当たりのいいリビング、収納の多いキッチン、駅からの距離、近所のカフェ——新しい住まいを探していると、間取りと日当たりばかり見てしまう。そんな経験はありませんか。実はその楽しさのまま、契約前にもう少しだけ地図を見ておくと、住み始めてからの安心が変わります。
「防災のために土地を調べなければ」ではなく、「好きな街を選ぶついでに、地図を数分だけ開いてみる」というくらいの軽さで十分です。この記事では、契約前に確認しておきたい3つのポイントを、長年の消防活動の経験をもとに整理していきます。
30秒でわかるまとめ
このページが目指すこと
「引っ越し=不安を数えること」にはしたくありません。好きな街・好きな間取りを選ぶワクワクした気持ちのまま、契約前にほんの数分だけ地図を開く習慣を持つこと。それがこの記事の目標です。
今日はまず、地図で確認しておきたい3つのポイントを、一緒に確認していきましょう。
この記事でわかること
- 契約前に地図で確認したい3つのポイント(ハザード・地形・避難動線)
- 「重ねるハザードマップ」で数分でできるセルフチェックの方法
- 古地図・地形からその土地の成り立ちを知る考え方
- 避難場所・避難経路・通学路を暮らしの動線として確認する視点
- 内見・契約というタイミングだからこそできる、無理のない確認の仕方
「間取りと日当たりを見ておけば、それで十分なの?」
間取りや日当たりを見る楽しさは、そのままで大丈夫です。そこに「地図を数分だけ開く」という習慣を1つ足してみませんか。
むずかしい作業ではありません。スマホがあれば、内見の合間にもできます。
好きな街を選ぶ楽しさは、そのままでいい
日当たりのいいリビング、収納の多いキッチン、駅からの距離、近所のカフェ——新しい住まいを探すときは、暮らしがどんどん楽しみになっていく時間です。その気持ちを大切にしたいというのが、この記事のいちばんの前提です。
「防災のために土地を調べなければ」という入口だと、内見の楽しさに水を差してしまいます。でも「この街、地図で見たらどんな場所なんだろう」という好奇心の延長なら、むしろ内見がもっと楽しくなります。
好きな街を選ぶ楽しさに、ほんの少し「見ておく習慣」を足してみましょう。
「いい街だと思って決めたのに」という声
防災士としての活動の中で、引っ越しにまつわる話を耳にすることがあります。細かいやり取りまでは覚えていませんが、「駅から近くて気に入って決めたら、あとからハザードマップを見て浸水想定区域だと知った」という趣旨の話を、一度ならず聞いた覚えがあります。
はっきりと数えたわけではありませんが、共通していたのは「知らなかったこと」への後悔よりも「契約前に数分調べれば分かったのに」という気づきだったように思います。一方で「内見のときにスマホでハザードマップを開いて、その場で不動産会社の担当者に質問した」という話を聞いたこともありました。
特別な知識がなくても、契約前というタイミングを逃さなければ、誰でもできることだった——そう感じさせられる話でした。
土地の確認は、専門知識より先に「契約前という一度きりのタイミングを逃さないこと」から始まります。
1つ目|「重ねるハザードマップ」で浸水・土砂・液状化を見る
最初に開いてほしいのが、国土交通省の「重ねるハザードマップ」です。住所を入力するだけで、洪水浸水想定区域・土砂災害警戒区域・液状化しやすい地盤かどうかが、色分けされた地図で表示されます。
①候補の住所そのもの:色がついているか、どの種類のリスクかを確認する。
②よく通る予定の道:最寄り駅までの道など、日常よく歩く道を確認する。
③通学路になりそうな道:子どもがいる場合は、学区内の主要な道もあわせて見ておく。
色がついていたら「住んではいけない」という意味ではありません。どんな種類のリスクがあるかを知っておくことで、契約後の暮らし方(家具の置き方、備えるもの)が自然と決めやすくなります。詳しい読み方は「住む場所・買う家・引越し先を決める前に確認したいこと」にまとめています。
2つ目|地形・古地図で「もともとどんな場所だったか」を見る
ハザードマップは今のリスクを示してくれますが、地形や古地図を見ると「なぜそのリスクがあるのか」が立体的にわかります。谷を埋めた土地か、川沿いの低地だったか——地図を眺めるのが好きな方には、むしろ楽しめる作業です。
古地図・地名・地形の読み方は「家を買う前・引越し前に知りたいこと|古地図・地名・地形で読む土地の安全性」、斜面・谷の地形の読み方は「土砂災害から家族を守るために、まず地形を知ることから始める」で詳しく解説しています。候補地が決まったら、あわせて開いてみてください。
3つ目|避難場所・避難経路・通学路を、暮らしの動線として見る
最後の1つは、避難場所・避難経路です。「もしものときにどこへ行くか」だけでなく、「毎日の通学路や買い物の道が、その避難経路と重なっているか」を見ておくと、暮らしの動線としてイメージしやすくなります。
避難場所と避難所の違いは「避難場所と避難所、どう違う?いざという時に後悔しない選び方」、避難経路の確認の仕方は「避難経路は1本じゃ足りない」で詳しく解説しています。引っ越し先が決まったら、家族で一度歩いてみることをおすすめします。
「内見の日に地図まで見る余裕なんてない」と思われるかもしれません。でも実際にかかる時間は、スマホで住所を入力してからものの数分です。
内見の行き帰り、電車の中や不動産会社との商談の合間——そのすきま時間で十分です。契約というタイミングを逃さないことが、いちばん大切だと感じています。
契約前にできる、3つの小さな一歩
3つ全部を完璧に調べる必要はありません。まずは1つだけ選んでみてください。
内見の前後に「重ねるハザードマップ」で候補地の住所を検索してみる
地理院地図の陰影段彩図で、周辺の高低差をざっと眺めてみる
契約前に、最寄りの避難場所までの道を地図上でたどってみる
まずはハザードマップを開くところから。それだけで十分な一歩です。
とらまるくんと考えてみよう
好きな街、好きな間取りを選ぶ気持ちはそのままでいい。そこに「地図を数分だけ開く」という習慣を1つ足すこと。
それが、契約前にできるいちばん小さくて確実な備えだと考えています。
引っ越し前の地図確認 よくある質問
ハザードマップに色がついていたら、その物件はやめた方がいいですか?
色がついている=住めない、という意味ではありません。どんな種類のリスクがあるかを事前に知っておくことで、家具の配置や備えの優先順位を決めやすくなります。まずは「知っておく」ことを目的にしてください。
内見のときにスマホで確認しても大丈夫ですか?
問題ありません。国土交通省の「重ねるハザードマップ」はスマホからも操作できます。内見の行き帰りや、不動産会社との商談の合間の数分で十分確認できます。
賃貸でも同じように確認した方がいいですか?
はい。持ち家・賃貸にかかわらず、暮らす場所のリスクを知っておくことは同じように役立ちます。特に契約前は、住んでから調べるよりも身構えずに確認できるタイミングです。
子どもの通学路も、契約前に確認できますか?
通学路そのものは学区が決まってから確定することが多いですが、候補地周辺の主要な道と避難場所までの経路は、契約前でも地図上で確認できます。実際に歩いてみるのは、引っ越し後で構いません。
この記事のポイント
- 契約前に見ておきたいのは「重ねるハザードマップ」「地形・古地図」「避難場所・避難経路」の3つ。
- ハザードマップは住所を入力するだけで、浸水・土砂・液状化のリスクが色分け表示される。
- 地形・古地図を見ると、リスクが「なぜそこにあるのか」が立体的にわかる。
- 避難場所・避難経路は、通学路や買い物の道といった暮らしの動線として確認すると実感が持てる。
- すべてスマホで数分あればできる。内見や契約の合間のすきま時間で十分。
まとめ
間取りや日当たりを見て、新しい暮らしにワクワクする気持ちはそのままで大丈夫です。そこに「地図を数分だけ開く」という小さな習慣を1つ足してみてください。
重ねるハザードマップ、地形・古地図、避難場所・避難経路。この3つは、契約前だからこそ身構えずに確認できることです。好きな街を選ぶ楽しさの延長線上に、暮らしの安心も一緒に整っていく——それが、この記事でお伝えしたかった土地の見方です。
今日、まずスマホでハザードマップを開いてみてください。それだけが、地図確認の入口になります。
日常を整えることが、そのまま非常時の安心につながる。
とらまる
一緒に学ぶ仲間
白いしっぽの先がチャームポイントの、好奇心いっぱいのトラの子。わからないことは素直に「どうして?」と聞くのが得意で、みんなの「聞きたいけど聞けない」を代わりに聞いてくれます。
ふくぼう先生からもらった「まなびのスカーフ」が自慢です。
▶ とらまるのプロフィールはこちら ›関連記事
あわせて読んでおくと、理解がさらに深まります。
いただいたご質問は、今後の記事づくりの参考にさせていただきます
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現場経験や実践例を交えながら、より実践的に学べる設計図を少しずつ育てています。
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