築年数で変わる家の地震への強さ|旧耐震・新耐震・2000年基準を知れば家選びが変わる
STEP2|家の設計図
築年数で、家の地震への強さはこんなに変わる。
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この記事は、本質の防災4STEPの「STEP2|家を知る」の入口となる記事です。
「うちの家、古いけど地震が来ても大丈夫かな」「マンションと一戸建て、どちらが安全?」そんな疑問を持ったことはありませんか。
実は建てられた年代によって、家の地震への強さは大きく変わります。「1981年」と「2000年」。この2つの年が、耐震性を分ける大きな境目です。
家を買う前・リフォームを検討中・今の家が心配な方へ。まず自分の家がいつ建てられたか、確認するところから始めましょう。
30秒でわかるまとめ
この記事でわかること
- 旧耐震・新耐震・2000年基準の具体的な違い
- 在宅避難とはどういう考え方か
- 自分の家の耐震性を確認する方法
- 耐震補強・耐震診断の基本的な考え方
- 建物の強さと家具固定の関係
ふくぼう先生の現場メモ
東日本大震災の発災直後、緊急消防援助隊として現地へ向かいました。現場に着くまでおよそ24時間の移動でした。
世間では津波のニュースが報じられていましたが、移動中に見た内陸部の被害は、今でも鮮明に覚えています。屋根瓦のある昔ながらの家屋は、倒壊しているかひどく傾いていました。瓦が落ちていない家は一軒もありませんでした。昭和から平成初期に建てられたと思われる家は、壁にひびが入っていたり、わずかに傾いていたりするものが多かった。そして平成後半から令和に建てられたと思われる建物は、外見からは被害がわからないものが多かった。
24時間かけて移動しながら見続けたその光景が、建てられた年代ごとにはっきりと違っていたことは、今でも忘れられません。
その後、ある地域で震度5の地震がありました。隣り合う2棟で、室内の状況がまったく異なる写真を見ました。片方は本や物が床に散乱し、もう片方はほとんど何も倒れていない。2棟の違いは耐震等級でした。
被害がほとんどなかった家の子どもは、地震に気づかず朝まで眠っていたそうです。家の強さは、安心して眠れる夜をつくります。
なぜ「いつ建てられたか」が重要なのか
日本では大きな地震のたびに建築基準法が改正されてきました。家が建てられた年代によって、求められる耐震性能がまったく異なります。つまり、同じ「一戸建て」でも、築年数が違えば地震への強さも大きく変わります。
同じ「一戸建て」でも、建てられた年代によって耐える力に大きな差があります。「うちは鉄筋だから大丈夫」「しっかりした家だから」という感覚は、根拠にはなりません。まず「いつ建てられたか」を確認することが出発点です。
耐震基準の変遷
旧耐震基準
震度5程度の地震で倒壊しないことを目標とした基準です。震度6〜7クラスの大地震については想定が弱く、阪神・淡路大震災では旧耐震基準の建物の倒壊が多数報告されました。
2000年5月
新耐震基準(第一世代)
震度6強〜7程度の大地震でも倒壊・崩壊しないことを目標とした基準です。ただし、地盤の液状化や建物の基礎・接合部については詳細な規定がなく、阪神・淡路大震災では一部の建物に倒壊が見られました。
現在
2000年基準(現行基準)
阪神・淡路大震災の教訓を踏まえ、地盤調査の義務化、基礎の強化、接合部の金物使用などが加わった基準です。耐震等級という概念もこの時期以降に普及しています。
耐震等級とは
耐震等級は、住宅の耐震性能を1〜3の3段階で示す指標です。2000年基準の普及とともに広まりました。
耐震等級1
建築基準法の最低基準を満たす水準。震度6強〜7程度の大地震で倒壊しないことを想定しています。
耐震等級2
等級1の1.25倍の耐震性能。学校や病院など、震災時に避難所となる建物に求められる水準です。
耐震等級3
等級1の1.5倍の耐震性能。消防署や警察署など、震災後も機能を維持することが求められる建物の水準です。
震度5の地震で、隣り合う2棟の室内がまったく異なる状態になりました。片方は本や物が床に散乱。もう片方はほとんど何も倒れていない。この差をつくったのが耐震等級です。耐震等級は数字ではなく、暮らしの安心の差です。
在宅避難という考え方
「地震が起きたら避難所へ行く」というイメージを持つ方は多いと思います。ただ実際には、避難所は住む場所を失った方が雨風をしのぐための場所です。家が無事であれば、自宅で生活を続けた方が家族にとっての安心につながります。
在宅避難とは、自宅が安全な状態を保っていれば、避難所へ行かずに自宅で生活を続けるという考え方です。自宅で生活できることは、プライバシーが守られ、ペットや高齢者・子どもにとっても負担が少なく、精神的な安定にもつながります。
- 家が倒壊・半壊していないこと
- ライフラインが止まっても生活できる備えがあること
- 土地のリスクを理解したうえで、その場所に留まれると判断できること
在宅避難を可能にするための土台が、家の耐震性です。家が無事であれば、そこから備えを整える判断ができます。
自分の家の耐震性を確認する方法
難しい手続きは不要です。まず登記簿や建築確認書で建てられた年を調べるだけで、おおよその耐震性がわかります。以下の順で確認してみてください。
- 登記簿や建築確認申請書で建築年月日を確認する
- 1981年6月以前に建てられていれば旧耐震基準
- 2000年5月以前に建てられていれば新耐震基準(第一世代)
- 2000年6月以降に建てられていれば現行基準
- 耐震等級は設計住宅性能評価書や建設住宅性能評価書で確認できる
自治体の耐震診断・耐震補強の補助制度を利用できる場合があります。まずお住まいの自治体のホームページで「耐震診断 補助」と検索してみてください。耐震診断は無料または低額で受けられる自治体も多くあります。
家の強さと家具固定の関係
家の耐震性を高めることと、室内の家具を固定することはセットです。どれだけ丈夫な家でも、家具が倒れれば怪我につながります。阪神・淡路大震災でも、建物の倒壊だけでなく家具の転倒による被害が多く報告されました。
家が丈夫であっても、室内の家具が固定されていなければ在宅避難は難しくなります。家の耐震性を知ることと、家具を固定することはセットで考える必要があります。
- 寝室の家具(就寝中に倒れると逃げられない)
- 玄関・廊下に置いた家具(逃げ道を塞ぐ)
- 背の高い本棚・食器棚・冷蔵庫
- テレビ(転倒・落下で怪我のリスク)
よくある質問
Q. 築年数が古くても大丈夫ですか?
築年数だけでは判断できません。リフォーム時に耐震補強をしている場合や、耐震診断を受けて補強済みの場合は、旧耐震基準の建物でも性能が改善されていることがあります。まず耐震診断を受けてみることをおすすめします。
Q. マンションの場合はどうですか?
マンションも同様に建築年月日が基準になります。1981年6月以降に建てられたマンションは新耐震基準以上です。また、大規模修繕の際に耐震補強を行っているマンションもあります。管理組合や管理会社に確認してみてください。
Q. 賃貸住宅でも耐震性を確認できますか?
可能です。登記情報は法務局や登記情報提供サービスで確認できます。また、賃貸物件の契約書や重要事項説明書に建築年月日が記載されている場合もあります。
Q. 耐震補強にはいくらかかりますか?
工事の内容や規模によって異なりますが、一般的な木造住宅の耐震補強工事は数十万〜150万円程度といわれています。自治体の補助制度を使えば自己負担を抑えられる場合があります。まず耐震診断から始めることをおすすめします。
この記事のポイント
- 日本の耐震基準は1981年・2000年の2回大きく変わった
- 建てられた年代によって家の強さは大きく異なる
- 在宅避難のためには、家が「住める状態」を保つことが前提
- 耐震性の確認は建築年月日を調べるところから始まる
- 家の耐震性と家具固定はセットで考える
まとめ
STEP1でハザードマップを使って土地のリスクを知ったように、STEP2では家そのものの強さを知ることが大切です。
家の耐震性は、地震が来てから初めてわかるものではありません。建てられた年代と基準を確認すれば、今の状態をある程度把握することができます。
在宅避難という考え方は、避難所に頼らず自宅で安心して過ごせる力を整えることです。その土台となるのが、家の強さです。
防災は特別なことではありません。まず自分の家を知ることが、安心して暮らすための次の一歩になります。
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