STEP1 土地を知る

避難場所と避難所、どう違う?いざという時に後悔しない選び方

分かれ道と案内標識のある公園で避難場所と避難所の違いを考えるイメージ
のりまつ

STEP1|土地の設計図

避難場所と避難所、どう違う?いざという時に後悔しない選び方

POSITION

本質の防災4STEP

この記事は、本質の防災4STEPの「STEP1|土地を知る」の記事です。

「避難場所と避難所って、同じでしょ?」——防災の講義でそう思っている方が、実はとても多いのが現実です。

文字も似ているし、どちらも「逃げる場所」のイメージ。でも役割はまったく違い、災害の種類によって行くべき場所も変わります

この違いをハザードマップで確認した瞬間、「ほんとだ!学校は地震には○なのに、川が近いから水害には×になってる」と気づく方がたくさんいます。

知識として覚えるのではなく、実際に地図を開いて確かめることが、いざという時の安心につながります。

30 SEC SUMMARY

30秒でわかるまとめ

「避難場所」は命を守るために一時的に逃げる場所。「避難所」は自宅に戻れない時に生活する場所。役割がまったく違います。
同じ学校でも「地震時は○・水害時は×」という指定があります。ハザードマップを開くと、その違いが一目でわかります。
まず1か所だけ、わが家に近い「指定緊急避難場所」を調べて、家族に共有することが最初の一歩です。
GOAL

このページが目指すこと

この記事の目的は、「避難場所と避難所の違いを暗記すること」ではありません。

ハザードマップを実際に開いて、「わが家の近くの学校は地震には使えるけど、水害には使えないんだ」と自分ごととして気づくことです。その一歩が、いざという時の判断を変えます。

FOR YOU

この記事でわかること

  • 「避難場所」と「避難所」それぞれの役割と使うタイミング
  • 同じ場所でも「災害の種類」によって使える・使えないが変わる理由
  • 「近くの学校に行けばいい」が半分しか正しくない理由
  • ハザードマップで確認する具体的な方法
  • 家族で決めておきたいこと
QUESTION

「どっちも逃げる場所でしょ?」

とらまるくん
とらまるくん
ねえふくぼう先生、「避難場所」と「避難所」って、文字も似てるし、どっちも逃げる場所でしょ? 何が違うの?
ふくぼう先生
ふくぼう先生

実はまったく役割が違うんです。とらまるくんのように思っている方、とても多いんですよ。

もうひとつ大事なのが、同じ場所でも「地震には○・水害には×」という指定があること。ハザードマップを開くとすぐにわかります。一緒に確認してみましょう。

INTRODUCTION

「知っているつもり」が、一番危ない

防災の講義でよく聞く声があります。「避難場所と避難所って同じじゃないの?」「地震が来たら学校へ行けばいいんでしょ?」

その感覚は、とても自然なものです。文字も似ているし、どちらも「いざという時に逃げる場所」というイメージがある。でも実際には、役割がまったく違います。

「なんとなくわかっているつもり」は、いざという時に判断を迷わせます。

この記事では、その違いをシンプルに整理した上で、「自分の地域ではどうなっているか」をハザードマップで確認する方法をお伝えします。知識として頭に入れるより、一度自分で確かめる体験が、何倍も安心につながります。

STORY

講義で聞いてみると、「そうなの?」という反応ばかりだった

長年の消防活動の経験をもとに、地域の方々へ防災の話をする機会がありました。そのたびに、参加者の方に確認するようにしていたことがあります。

「避難場所と避難所の違い、わかりますか?」

返ってくる反応のほとんどが「えっ、違うんですか?」「どっちも同じかと思ってました」というものでした。防災意識が高い方でも、この二つをはっきり区別していた方は多くありませんでした。

さらに印象的だったのは、「川沿いにある学校」の話をした時です。「地震の時は避難場所になっているのに、水害の時は使えないんです」と説明すると、みなさんが「ほんと?」という顔をする。そしてその場でハザードマップを開いてもらうと——

「ほんとだ!学校が地震には○なのに、洪水には×になってる!」という声が、毎回のように上がりました。頭で聞くより、自分の目で確かめた瞬間に「わかった」になる。それを何度も見てきました。

ANSWER|まず整理する

「避難場所」と「避難所」の違い

避難場所(指定緊急避難場所)

災害が発生した、またはまさに発生しそうな時に、命を守るために一時的に逃げる場所です。公園・広場・高台など、主に屋外の開けた場所が指定されています。

「まず外へ出て、安全な場所へ移動する」という局面で向かう場所です。

避難所(指定避難所)

自宅が損壊・浸水するなどして戻れない場合に、一定期間生活するための場所です。学校・公民館・体育館などが指定されています。

「家に戻れない状況が続く」局面で生活の拠点となる場所です。

避難場所:命を守る(まず逃げる先)
避難所:生活を続ける(長く滞在する先)
行くタイミングも、目的も、まったく違います。

COMMON MISTAKE|よくある誤解

「近くの学校に行けばいい」は半分だけ正しい

多くの方が「地震が来たら学校へ」と思っています。でも、これは半分しか正しくありません。

学校が「指定避難所」になっているケースは多いです。一方で、「指定緊急避難場所(水害)」に指定されているかどうかは別の話。川が近い学校は、水害時の避難場所には指定されていないことがほとんどです。

実際にあるケース
  • 学校の校舎 → 「指定避難所」◯ / 「水害時の避難場所」× (川沿いの場合)
  • 学校の校庭 → 「地震時の避難場所」◯ / 「水害時」× (低地の場合)
  • 近くの高台の公園 → 「水害・土砂時の避難場所」◯ / 「避難所」× (建物なし)

同じ「学校」でも、災害の種類によって行くべき場所が変わるのです。これを知らずに水害時に川沿いの学校へ向かうと、かえって危険な状況になる可能性があります。

CHECK POINT|ハザードマップで確かめる

「災害の種類ごとに○×がある」をハザードマップで確認する

指定緊急避難場所には、それぞれ「対応する災害の種類」が決まっています。市区町村が公表しているハザードマップや一覧表を開くと、各施設に次のような○×表示があります。

場所の例 地震 洪水・水害 土砂災害 津波
川沿いの小学校(校庭) × ×
高台の公園・広場 ×(斜面近くの場合)
内陸部の広場 —(対象外エリア)

※上記はイメージ例です。実際の指定内容はお住まいの市区町村のハザードマップでご確認ください。

ハザードマップを開く方法(3ステップ)
  • 「(市区町村名) 指定緊急避難場所」で検索する
  • または国土交通省「重ねるハザードマップ(disaportal.gsi.go.jp)」を開く
  • 自宅周辺を拡大して、近くの避難場所をタップ・クリック → 災害種別の○×が表示される

「ほんとだ、川沿いの学校が水害×になってる!」——この気づきが、いざという時の行動を変えます。ぜひ今、実際に開いてみてください。

HOW TO USE|使い方の考え方

「2段階」で考えると整理しやすい

避難の流れは、大きく2つの段階に分けると整理しやすくなります。

第1段階|命を守る → 避難場所(指定緊急避難場所)へ

危険が迫った時、まず向かう場所です。屋外の広場・高台など開けた場所で安全を確保します。「その災害に対応しているか」をあらかじめ確認しておくことが重要です。

第2段階|生活を続ける → 避難所(指定避難所)へ

自宅に戻れない状況が続く場合に、生活の拠点となる場所です。食事・睡眠・情報収集ができる環境が整います。

「まず安全な場所へ → 状況を見て生活の場へ」という2段階の流れを、家族で共有しておくことが大切だと感じています。

ふくぼう先生
FIELD MEMO ふくぼう先生メモ

「在宅避難」という選択肢もあります。自宅が安全な状態(倒壊・浸水のリスクがない)で、ライフラインがある程度確保できていれば、避難所に行かずに自宅で過ごすことが安心なこともあります。

避難所の混雑や感染リスクを避けられる側面もあります。「いざとなれば避難所へ」だけでなく、「自宅に留まるか・外へ出るか」の判断基準を事前に持っておくことも、安心の設計図になります。

ACTION|今日からできる小さな一歩

まず1か所だけ、今日確かめる

すべてを一度に把握しなくて大丈夫です。今日できることは、自宅から一番近い「指定緊急避難場所」を1か所だけ調べること。そして、「どの災害に対応しているか」を確認すること。

方法①

市区町村のWebサイトで「指定緊急避難場所 一覧」を検索する

方法②

国土交通省「重ねるハザードマップ」で自宅周辺の場所をタップして確認する

方法③

自治体から届いているハザードマップ(冊子版)の一覧表を確認する

調べた場所を家族に「ここが一番近い避難場所だよ、でも水害の時は別の場所に行こうね」と伝えるだけで、いざという時の迷いがなくなります。

THINK TOGETHER

とらまるくんと考えてみよう

とらまるくん
とらまるくん
なるほど!「避難場所」と「避難所」って全然違うんだね。しかも同じ学校でも災害によって行ける・行けないがあるなんて、ハザードマップ開いてみないと気づかなかった!
ふくぼう先生
ふくぼう先生より

あなたの地域の「指定緊急避難場所」、調べてみたことはありますか?

ハザードマップを開いて近くの学校や公園をタップしてみると、「ほんとだ、水害には×になってる」という気づきがきっとあります。その体験が、いざという時の安心の根拠になります。

FAQ

避難場所・避難所 よくある質問

避難場所と避難所が同じ場所(学校)に指定されていることはありますか?

はい、あります。学校の体育館や校舎が「指定避難所」に、校庭が「地震・火災時の指定緊急避難場所」に指定されているケースは多くあります。ただし、川が近い学校は「水害時の避難場所」には指定されていないことが多いため、市区町村のハザードマップで災害種別ごとの対応を確認することが大切です。

「避難所に行けばいい」ではダメなのですか?

ケースによります。自宅が安全であれば、無理に避難所へ行かず「在宅避難」を選ぶ方が安心なこともあります。また、発災直後の危険な状況では、まず「指定緊急避難場所(一時避難)」へ向かい、その後「避難所」へ移動するという2段階の流れが基本です。「とにかく避難所へ」では、行くタイミングや場所を間違える可能性があります。

避難場所・避難所の情報はどこで確認できますか?

お住まいの市区町村のWebサイト、または自治体が配布しているハザードマップに記載されています。国土交通省の「重ねるハザードマップ(disaportal.gsi.go.jp)」では地図上で確認でき、施設をタップすると対応する災害の種類を確認できます。引越しや家族構成が変わったタイミングで、改めて見直すことをおすすめします。

自治会の集合場所と「指定緊急避難場所」は違いますか?

異なることがほとんどです。自治会の集合場所は地域で自主的に決めた場所であり、市区町村が正式に指定した「指定緊急避難場所」とは別物です。それぞれ把握しておくと安心です。なお、自治会の集合場所が指定緊急避難場所と同じ場所になっているケースもあります。

POINT

この記事のポイント

  • 「避難場所」は命を守るための一時的な場所、「避難所」は生活を続ける場所。役割がまったく違う。
  • 同じ学校でも「地震時は○・水害時は×」という指定がある。災害の種類によって行くべき場所が変わる。
  • 「近くの学校へ」は半分しか正しくない。川沿いの学校は水害時の避難場所に指定されていないことが多い。
  • ハザードマップを開いて、わが家の近くの避難場所の「対応災害種別」を自分で確認することが大切。
  • まず1か所調べて、家族に共有する。それが安心の最初の一歩になる。
SUMMARY

まとめ

「避難場所と避難所の違いを知っている人がほとんどいなかった」というのは、防災の講義でよく感じることです。難しい内容ではないのに、なぜかすれ違ってきた知識のひとつです。

でも、ハザードマップを一度開いてみると、「ほんとだ!」と気づく瞬間が必ずあります。知識として頭に入れるより、その一枚の地図を自分の目で確かめる体験が、何倍も安心の根拠になります。

「わが家に一番近い避難場所」「水害の時はここへ、地震の時はここへ」——それを家族で共有しておくだけで、いざという時の判断が変わります。


日常を整えることが、そのまま非常時の安心につながる。

とらまるくん

とらまる

一緒に学ぶ仲間

白いしっぽの先がチャームポイントの、好奇心いっぱいのトラの子。わからないことは素直に「どうして?」と聞くのが得意で、みんなの「聞きたいけど聞けない」を代わりに聞いてくれます。

ふくぼう先生からもらった「まなびのスカーフ」が自慢です。

▶ とらまるのプロフィールはこちら
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あわせて読んでおくと、理解がさらに深まります。

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PROFILE
ふくぼう先生
ふくぼう先生
元消防士・防災士
安心して暮らせる毎日を日常の習慣から。 元消防士・防災士として長年の現場経験を通じて、さまざまな災害と向き合ってきました その経験から辿り着いた答えは 「日常を整えることが最高の備えになる」 ということでした。 防災を特別なものにせず日常と非常時をつなぐ知恵をお伝えしています。
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