電話もLINEも使えない日に、家族と会うための準備できていますか?
STEP4|行動の設計図
電話もLINEも使えない日に、家族と会うための準備できていますか?
お弁当を作っている時、運転中に、仕事中に——突然、大きな揺れが来たとしたら。
まず身を守ることはできた。でも、その後は?
子どもは幼稚園にいる。夫は会社のはず。でもスマホは圏外。電話もつながらない。SNSも開かない。
頭の中にいろんなことが浮かんで、何をすればいいかわからなくなる。それが、災害直後の現実です。
難しい「防災計画」は必要ありません。家族で「こうなったらこうする」をひとつ決めておくだけで、パニックの中でも体は動きます。
30秒でわかるまとめ
このページが目指すこと
この記事の目的は、完璧な防災計画を立てることではありません。
「スマホが使えない日に、家族はどこへ向かうか」をひとつ決めておくことです。それだけで、パニックの中でも体が動きます。
この記事でわかること
- 発災直後にスマホ・電話が使えなくなる理由
- 子どもが幼稚園・学校にいる時、焦らなくていい理由
- 通学・通勤ルートの共有がなぜ最強の備えなのか
- 家族会議で決めておきたい「ルール」のつくり方
- 171伝言ダイヤルをどのフェーズで使うか
「まず子どもを迎えに行かなきゃ」は正しい?
その気持ちはとても自然です。ただ、大規模な地震の直後は、スマホも電話もほぼつながらない状態になることがあります。
「つながらない前提」で動く準備をしておくことが、結果として家族を守ることにつながると考えています。
「何かあれば連絡すればいい」と思っている方へ
「スマホがあれば大丈夫」「LINEで連絡すればいい」——日頃からそう思っている方は多いと思います。その安心感を否定したいわけではありません。
ただ、大規模な地震が発生した直後は、その前提が崩れることがあります。回線の輻輳、停電による基地局のダウン——見えないところで通信インフラが止まっている間、家族は連絡なしで動かなければなりません。
「連絡できなくても家族に会える」仕組みを、今のうちに決めておくことが大切です。
長年の防災活動を通じて、落ち着いて動けた方の多くに共通していたのは、事前に「こうなったらこうする」を決めていたことでした。知識より、事前の一言が人を動かします。
「決めてあること」が、パニックの中でも体を動かす
長年の防災活動を通じて、さまざまな方のお話を聞いてきました。発災後、落ち着いて行動できた方と、動けなかった方。その差はどこにあったのでしょうか。
動けなかった方の多くは、「何から手をつければいいかわからなかった」とおっしゃいます。子どものこと、夫のこと、家のこと——頭の中で一気にいろんなことがぐるぐると浮かんで、体が止まってしまった。
一方、落ち着いて行動できた方には共通点がありました。「子どもは学校の先生がそばにいるから大丈夫」「夫とはあそこで合流する約束をしていた」——事前に決めていたことがあったから、考える必要がなかったのです。
パニックになるのは当然です。でも、「決めてあること」は、パニックの中でも体を動かしてくれます。知識より、事前の一言が人を救う——現場で繰り返し感じてきたことです。
「スマホが使えない」を前提にする
「何かあれば電話すればいい」「LINEで連絡すればいい」——そう思っている方は多いと思います。でも、大規模な地震が発生した直後は、その前提が崩れます。
大規模な地震が発生すると、被災地への通話量が一気に急増し、回線がパンク状態(輻輳)になります。通信各社は通信インフラを守るため、音声通話に最大90〜95%の通信規制をかけることがあります。
停電が発生すると、携帯電話の基地局が止まります。インターネット回線も同様で、大規模災害の際は通信が制限される場合があります(総務省資料より)。
大規模災害時、公衆電話は無料開放されます。171伝言ダイヤルとあわせて、「落ち着いた後の安否確認」のフェーズで使うものとして考えておきましょう。
「スマホが使えない」を前提に、家族の行動を決めておく。それだけでいい。
子どもが幼稚園・学校にいる時、焦らなくていい理由
「子どもが幼稚園にいる!すぐ迎えに行かなきゃ!」
その気持ちは当然です。でも、少しだけ立ち止まって考えてみてください。
幼稚園や学校では、地震が発生した瞬間から、先生たちが子どもたちを安全な場所へ誘導する訓練を重ねています。子どもたちは今、先生のそばで、安全な場所にいる可能性がとても高いのです。
発災直後に、混乱した道路を急いで迎えに行くことが、必ずしも安全とは言えません。まず自分の安全を確保すること。それが、結果として子どもを守ることにもつながります。
では、どのタイミングで迎えに行けばいいのか。どこで待ち合わせればいいのか。それを「今」決めておくことが、この記事でお伝えしたいことです。
通学・通勤ルートの共有が、最強の備えです
スマホも電話も使えない。でも、家族に会いたい。そのためにできることは、シンプルです。
ルートを辿れば、必ず家族に会える。
子どもが毎朝歩く通学路。夫が毎日通る通勤経路。そのルートを家族全員が知っていれば、連絡がとれなくても、そのルートを辿ることで家族と出会える可能性が高くなります。
逆に言えば、ルートを誰も知らなければ、どこへ向かえばいいかわかりません。安否確認の手段がないまま、お互いがお互いを探して動き回ることになります。
- スマホが使えなくても、ルートを辿れば家族と会える
- 「あの子は今どこにいるんだろう」という不安が減る
- 家族それぞれが自分の行動を判断できる
- 迎えに行く側も、どのルートを歩けばいいかわかる
「どっちに向かう?」を事前に決めておく
発災した時の場所によって、どちらに向かうかの判断が変わります。これを事前に家族で決めておきましょう。
家に近い場所にいた時
自宅に戻るルートで帰る。ルート上で子どもや家族と合流できます。
学校・会社に近い場所にいた時
学校や会社にとどまる。家族は「そちらにいるんだ」とわかるので、必要に応じてルートを辿って向かえます。
「ちょうど半分くらいの場所にいたら?」「この橋は崩れそうで怖い」——そういった不安は、地図を見ながら家族で話し合うことで解決できます。
- 「この橋を境に、手前なら家へ、渡っていたら学校へ」
- 「この公園まで来たら、そこで待っていてね」
- 「あの道は塀が危ないから、一本隣の道を使う」
住んでいる地域やルートは家族ごとに違います。だからこそ、「うちの場合はどうする」を決める家族会議が大切なのです。
「家族会議をしましょう」というと、なんだか大げさに感じる方もいるかもしれません。
でも実際には、夕食後に地図アプリを開いて「もし地震が来たらどこに向かう?」と話すだけで十分です。子どもと一緒に通学路を歩きながら話すのも、立派な家族会議です。
完璧に決めなくていい。まず一つ決めることが、すべての出発点です。
家族会議で決めておきたい4つのこと
地図を広げて、家族で「うちはこうしよう」を決めるだけです。
とらまるくんと考えてみよう
あなたの家族は、それぞれどんなルートで毎日動いていますか?
今夜、地図を開いて「もし地震が来たらどこで会おうか?」と話してみてください。その5分が、安心の設計図になります。
171伝言ダイヤルは「落ち着いた後」に使う
171伝言ダイヤルは、大規模な災害が発生した時に、NTTが提供する安否確認サービスです。電話回線を通じて音声メッセージを録音・再生できます。
- 録音する時:171を押す → 「1」を押す → 電話番号を入力 → メッセージを録音
- 聞く時:171を押す → 「2」を押す → 確認したい電話番号を入力 → 再生
- 固定電話・公衆電話・携帯電話から利用できます
- 毎月1日・15日に体験利用できます。ぜひ一度家族で試してみましょう
発災直後の混乱の中では、まず自分の安全確保とルートに沿った行動が最優先です。ある程度落ち着いたタイミング、または公衆電話にたどり着いたタイミングで、家族へ安否メッセージを録音しておくと、お互いの不安が減ります。
家族のルールとして「落ち着いたら171に録音する」を決めておくと、メッセージを聞く側も安心できます。
よくある質問
子どもが小さくて、ルートを覚えられるか心配です。
完璧に覚えなくて大丈夫です。「地震が来たら先生のそばにいてね」「ここ(目印となる公園など)で待っていてね」という短い言葉を繰り返し伝えるだけで十分です。年齢が上がるにつれて、少しずつルートの理解を深めていきましょう。
子どもが登下校中に地震が来たらどうするの?
「学校に近ければ学校に戻る」「家に近ければ家に向かう」「中間地点なら○○公園で待つ」というルールをあらかじめ決めておきましょう。子ども自身が判断できる言葉で、繰り返し伝えることが大切です。
家族が遠くに通勤していて、帰れない可能性があります。
帰宅困難になる可能性を前提に決めておくことが大切です。「帰れない時は会社に泊まる」「翌朝○○時に○○に向かう」など、パターン別のルールを話し合っておきましょう。完璧を目指すより「まず一つ決める」ことが第一歩です。
家族会議って、どうやって始めればいいですか?
夕食後に地図アプリを開いて「もし地震が来たらどこに向かう?」と話すだけで十分な始まりになります。子どもと一緒に通学路を歩きながら「ここまで来たら家に帰ろうね」と話すのも立派な家族会議です。
この記事のポイント
- 発災直後、スマホも電話もつながらないことを前提に準備しておく
- 子どもが在園・在学中は先生がそばにいる。まず自分の安全確保が最優先
- 通学・通勤ルートを家族全員で共有すれば、連絡できなくても家族に会える
- 「どこで合流するか」の境界線と待ち合わせ場所を、ルート上の目印で決めておく
- 171伝言ダイヤルは、落ち着いた後の安否確認ツールとして家族で使い方を確認しておく
まとめ
防災計画と聞くと、なんだか難しそうで後回しにしてしまいがちです。でも、ここでお伝えしたことはシンプルです。
スマホが使えない日に、家族はどこにいて、どこへ向かうのか。それをひとつ決めておくだけでいい。
今夜、地図を開いて、家族に聞いてみてください。「もし地震が来たら、どこで会おうか?」——その5分が、安心の設計図になります。
日常を整えることが、そのまま非常時の安心につながる。
とらまる
一緒に学ぶ仲間
白いしっぽの先がチャームポイントの、好奇心いっぱいのトラの子。わからないことは素直に「どうして?」と聞くのが得意で、みんなの「聞きたいけど聞けない」を代わりに聞いてくれます。
ふくぼう先生からもらった「まなびのスカーフ」が自慢です。
▶ とらまるのプロフィールはこちら ›関連記事
あわせて読んでおくと、理解がさらに深まります。
いただいたご質問は、今後の記事づくりの参考にさせていただきます
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現場経験や実践例を交えながら、より実践的に学べる設計図を少しずつ育てています。
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