自宅の災害リスクについて、「見たことがある気がする」で確認をすませてしまう心の仕組み
STEP4|行動の設計図
自宅の災害リスクについて、「見たことがある気がする」で確認をすませてしまう心の仕組み
住まい選びのときに、一度は目にしているかもしれない情報。あらためて確認しておくと、日々の安心につながります。
「見たことがある気がする」で終わらせていませんか。今日は、自宅の災害リスクを確認できる2つの公式ツールと、確認しておきたいポイントを一緒に見ていきましょう。
30秒でわかるまとめ
このページが目指すこと
ハザードマップを「見たことがある気がする」で終わらせず、実際に自宅の位置で確認してみる。そのきっかけをお届けすることが、この記事の目標です。
まずは、ハザードマップにどんな種類があるのか、ひとつずつ確認していきましょう。
この記事でわかること
- 「重ねるハザードマップ」と「わがまちハザードマップ」の違い
- 住まいの契約時に、水害リスクの説明が義務化されている実情
- ハザードマップと気象庁の「キキクル」の使い分け方
- いざというときの応急手当の基本的な考え方など、家族の安全習慣とあわせて考える視点
「ハザードマップって、見なくてもいいの?」
国土交通省のサイトで、誰でも無料で確認できるんですよ。実は、お家を借りたり買ったりするときに、水害リスクの説明を受けている方も少なくないんです。
ただ、その場で聞いただけで終わっている方も多いんじゃないかなと感じています。
「見たことがある気がする」で止まってしまう理由
住まい選びは、間取りや日当たり、駅からの距離など、暮らしやすさを軸に決めることが多いものです。その過程で水害リスクの説明を受ける機会があっても、意識が「物件そのもの」に向いているぶん、リスク情報の中身までしっかり記憶に残らないことは、自然なことかもしれません。
実際に自宅の位置でハザードマップを開いて確認したことがあるかと聞かれると、答えに詰まってしまう方も少なくないのではないでしょうか。「見たことがある」ことと「確認している」ことは、実は別のことなのかもしれません。
「見たことがある気がする」で終わらせないこと。それが、この記事でお伝えしたい視点です。
「契約のときに見た気はするけれど……」という声
防災士としての研修や地域の防災講話の場では、参加者に「ご自宅のハザードマップを見たことがありますか」と尋ねると、「契約のときに見せられた記憶はあるけれど、内容までは覚えていない」という声を聞くことがあります。
「浸水想定区域に入っているかどうかも、実はよく分かっていません」——そう話される方は、決して少なくないという印象を持っています。住まい選びの決め手はどうしても間取りや家賃になりがちで、リスク情報は「説明を受けた」という事実だけが残り、内容そのものは記憶に残りにくいのかもしれません。
これは、住まい選びの意識の向き方として、ごく自然なことのように思います。
契約の場での説明を、暮らしの中で自分ごととして確認し直す機会を持つことには、意味があると感じています。
1つ目|「ハザードマップ」には、実は2つの種類がある
国土交通省・国土地理院が運営するハザードマップポータルサイトには、大きく分けて2つのツールがあります。重ねるハザードマップは、洪水・土砂災害・高潮・津波などのリスク情報を地図や写真に自由に重ねて表示できるツールです。一方、わがまちハザードマップは、市町村が法令に基づき作成・公開したハザードマップへのリンク集で、地域ごとにより詳しい情報を確認できます。
まずは重ねるハザードマップで自宅周辺のおおまかなリスクを確認し、より詳しい情報が知りたいときはわがまちハザードマップで市町村の資料を確認する、という順番で使うとわかりやすいとされています。
2つ目|「説明を受けたこと」と「確認していること」は別
2020年8月28日に施行された宅地建物取引業法施行規則の改正により、不動産の売買・賃貸の契約時には、水防法に基づく水害ハザードマップにおける対象物件の所在地の説明が義務化されています。つまり、2020年以降に住まいを借りたり購入したりした方の多くは、契約の場で水害リスクの説明を一度は受けている可能性があります。
ただ、契約の場では物件そのものへの関心が中心になりやすく、リスク情報は「聞いた」という事実だけが残って、内容までは記憶に残りにくいことも自然なことかもしれません。国土交通省も、水害リスクの説明にあたっては、浸水想定区域外だからといって水害リスクがないと誤認させないよう配慮することを求めています。契約時の記憶に頼らず、暮らしの中であらためて確認し直しておくと安心につながります。
3つ目|「見ておこう」だけでは、行動につながりにくい
心理学の分野では、「いつ・どこで・何をするか」を具体的に決めておくことが、実際の行動につながりやすいという考え方があります。米ニューヨーク大学の心理学者ピーター・ゴルヴィツァー氏らの分析でも、漠然とした意思だけでなく、具体的な計画を事前に持っておくことが行動の後押しになるとされています。
ハザードマップの確認も同じかもしれません。「そのうち見ておこう」ではなく、「今週末、自宅の住所で重ねるハザードマップを開いてみる」というように、具体的なタイミングを決めておくことが、実際に確認する一歩につながります。
4つ目|確認しておきたいポイントと、キキクルとの使い分け
国土交通省のハザードマップポータルサイトでは、洪水・内水氾濫・高潮・津波等による浸水想定区域と浸水深、土砂災害警戒区域等、地形分類、指定緊急避難場所などを地図上で確認できます。あわせて、大雨が近づいたタイミングでは、気象庁のキキクル(危険度分布)で、刻々と変わるリアルタイムの危険度を確認するとよいとされています。
ハザードマップは「平常時に、住まいの立地そのもののリスクを知っておく」ための情報、キキクルは「大雨が近づいたときに、今どれくらい危険なのかを確認する」ための情報。役割が異なる2つを知っておくと、いざというときの判断材料が増えます。
万一、災害時に応急手当が必要になったときの行動については「昔ながらの応急手当」が、今も信じられてしまう心の仕組みともあわせて知っておくと、いざというときの安心につながります。
契約のときに一度説明を受けていても、日常生活の中で内容を意識し続けるのは、簡単なことではないと感じています。それは、住まい選びで大切にしたいことが他にたくさんあるからこそ、自然なことだと思います。
だからこそ、住所を入力するだけで確認できる重ねるハザードマップを、思い立ったタイミングで一度開いてみることをおすすめしたいです。
今日からできる、3つの小さな一歩
すべてを一度に見直す必要はありません。まずは1つだけ確認してみてください。
自宅の住所で、重ねるハザードマップを開いてみる
浸水想定区域・土砂災害警戒区域に入っているか確認してみる
近くの指定緊急避難場所を確認してみる
まずは1つだけ、今日試してみるところから。それだけで十分な一歩です。
とらまるくんと考えてみよう
あなたのご自宅は、重ねるハザードマップでどんな色になっているか、ご存じですか。
「見たことがある気がする」で終わらせず、今日一度、確認してみませんか。
ハザードマップ よくある質問
ハザードマップは、どこで確認できますか?
国土交通省・国土地理院が運営するハザードマップポータルサイトで、誰でも無料で確認できます。複数のリスクを重ねて見る「重ねるハザードマップ」と、市町村ごとの詳しいマップにリンクする「わがまちハザードマップ」の2種類があります。
契約のときに説明を受けたので、もう確認しなくても大丈夫ですか?
2020年の宅地建物取引業法施行規則の改正により、契約時の水害リスクの説明は義務化されています。ただ、契約の場では物件そのものへの関心が中心になりやすく、内容が記憶に残りにくいこともあります。暮らしの中であらためて確認し直しておくと安心につながります。
浸水想定区域に入っていなければ、安心してよいですか?
国土交通省は、浸水想定区域外だからといって水害リスクがないと誤認しないよう呼びかけています。区域外であっても、周辺の地形や河川の状況によってリスクが生じる場合があるため、あわせて指定緊急避難場所なども確認しておくと安心です。
キキクルとハザードマップは、何が違うのですか?
ハザードマップは、平常時に住まいの立地そのもののリスクを知っておくための情報です。一方、気象庁のキキクル(危険度分布)は、大雨が近づいたときの危険度をリアルタイムで示す情報で、10分ごとに更新されます。両方を組み合わせて確認するとよいとされています。
この記事のポイント
- ハザードマップには、複数のリスクを重ねて見る「重ねるハザードマップ」と、市町村ごとの詳しい地図にリンクする「わがまちハザードマップ」の2種類がある。
- 2020年の法改正により住まいの契約時に水害リスクの説明が義務化されているが、内容が記憶に残りにくいことも自然なこと。
- 「今週末、自宅の住所で確認する」など、具体的なタイミングを決めておくことが行動につながる。
- ハザードマップ(平常時の立地リスク)と気象庁のキキクル(大雨接近時のリアルタイム危険度)を使い分けるとよい。
まとめ
ハザードマップは、住まいの契約時に一度目にしていても、日常生活の中で内容を意識し続けるのは簡単なことではありません。それは決して確認を怠っているということではなく、自然なことだと感じています。
「見たことがある気がする」で終わらせず、重ねるハザードマップとわがまちハザードマップ、そして気象庁のキキクルを、それぞれの場面で使い分けていく。そうした小さな確認の積み重ねが、いざというときの安心につながります。
今日、まずは自宅の住所で重ねるハザードマップを開いてみることから。それだけが、住まいのリスクを知る入口になります。
日常を整えることが、そのまま非常時の安心につながる。
とらまる
一緒に学ぶ仲間
白いしっぽの先がチャームポイントの、好奇心いっぱいのトラの子。わからないことは素直に「どうして?」と聞くのが得意で、みんなの「聞きたいけど聞けない」を代わりに聞いてくれます。
ふくぼう先生からもらった「まなびのスカーフ」が自慢です。
▶ とらまるのプロフィールはこちら ›関連記事
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