ペットとの避難について、「そのうち考えよう」と先延ばしにしてしまう心の仕組み
STEP4|行動の設計図
ペットとの避難について、「そのうち考えよう」と先延ばしにしてしまう心の仕組み
ペットも、大切な家族の一員。だからこそ「避難所に行けば大丈夫」と決めつけず、在宅避難も含めて、日頃から少しだけ考えておきたいことがあります。
「連れて行くつもり」の、その先まで考えたことはありますか。今日は、ペットとの避難について、避難所ありきで考えすぎずに済む考え方を一緒に見ていきましょう。
30秒でわかるまとめ
このページが目指すこと
「避難所に行くこと」だけを唯一の正解にせず、在宅避難という選択肢も含めて、ご家庭に合った形を一緒に考えることが、この記事の目標です。
まずは、避難所と在宅避難、それぞれの考え方をひとつずつ確認していきましょう。
この記事でわかること
- 「同行避難」と「同伴避難」の違い
- 避難所の受け入れ方針が、現場でも整理しきれていないことがある実情
- 在宅避難という選択肢と、日頃からできる備え
- いざというときの応急手当の基本的な考え方など、家族の安全習慣とあわせて考える視点
「地震のとき、ペットも一緒に逃げていいの?」
環境省も、ペットと一緒に避難する「同行避難」をすすめています。
ただ、避難所に行くことだけを前提にせず、在宅避難という選択肢も考えておくと安心ですよ。
「うちの子は大丈夫」と思ってしまう理由
ペットとの暮らしは、日常の中に自然に溶け込んでいます。だからこそ「もしものとき」を具体的に思い描く機会は、意外と少ないものです。人の備えであれば避難場所や持ち出し品を確認する機会がありますが、ペットについては「連れて行けばなんとかなる」で止まってしまいがちです。
ペットを家族の一員として大切にしている方にとって、避難所でペットと一緒にいられるかどうかが分からない、という状況は、とても心細いものだと思います。実際には、避難所ごとに受け入れ方針が異なり、確認しても曖昧な返事しか得られないことも少なくありません。だからこそ「避難所に行くこと」だけを前提にせず、自宅が安全であれば在宅避難を選ぶ、という視点も持っておきたいところです。
避難所ありきで考えすぎないこと。それが、この記事でお伝えしたい考え方です。
「聞いても、はっきりした答えが返ってこなかった」という声
防災士としての研修や地域の防災講話の場では、ペットを飼っている参加者から「ケージには入れたことがない」「避難所に問い合わせても、はっきりした答えが返ってこなかった」という声を聞くことがあります。
「連れて行くこと」は決めていても、「連れて行った後、どう過ごすか」まで考えている方は少ない——そう感じる場面が多いように思います。ペットを家族のように大切にしている方ほど、この分からなさに不安を感じているようにも見えます。
これは、飼い主の準備不足というよりも、避難所の受け入れ体制そのものが、まだ地域や現場によって差があるということが背景にあるように思います。
避難所だけに頼らない選択肢も含めて、一緒に考えることには意味があると感じています。
1つ目|「同行避難」と「同伴避難」は、実は違う言葉
環境省が定める「同行避難」とは、災害の発生時に、飼い主がペットと共に指定緊急避難場所等まで移動して避難することを指します。一方で「同伴避難」は、避難所でペットを飼養管理すること、つまり避難所に到着した後の状態を指す言葉です。どちらも、飼い主とペットが同じ部屋で一緒に過ごせることを意味するわけではなく、避難所ごとにペットの飼養環境は異なります。
環境省の資料でも「指定緊急避難場所等でペットを連れた被災者等への対応が十分に整理・周知されていないことが原因で、現場で混乱が生じる事例がみられます」と指摘されています。「聞いても、はっきりした答えが返ってこない」ことは、飼い主側の準備不足ではなく、体制側にまだ課題が残っていることの表れでもあります。
2つ目|「避難所に行くこと」を前提にしすぎない
避難所の受け入れ方針がはっきりしないなら、「避難所に行くこと」を唯一の前提にせず、他の選択肢もあわせて考えておくと、気持ちの負担が少し軽くなるかもしれません。自宅が安全な状態であれば、住み慣れた環境で過ごせる在宅避難は、ペットにとってもストレスの少ない選択肢になり得ます。
内閣府(防災担当)の手引きでは、地区防災計画の例として「避難所は自宅で生活できない被災者を受け入れる施設とし、自宅が安全であれば、ご自宅にとどまる(在宅避難)こととしている」という考え方が紹介されています。避難所・在宅避難・親戚や友人宅・ペットホテルなど、複数の選択肢を日頃から考えておくことが、ペットと暮らす方にとって一つの安心材料になるのではないかと思います。
3つ目|「決めていたかどうか」が、行動の分かれ目になる
心理学の分野では、「いつ・どこで・何をするか」を具体的に決めておくことが、実際の行動につながりやすいという考え方があります。米ニューヨーク大学の心理学者ピーター・ゴルヴィツァー氏らの分析でも、漠然とした意思だけでなく、具体的な計画を事前に持っておくことが行動の後押しになるとされています。
ペットとの避難も同じかもしれません。「連れて行く」という気持ちだけでなく、在宅避難ができそうか、避難所ではどう過ごすことになりそうか、親戚や友人・ペットホテルといった預け先はあるか——具体的な選択肢を一つずつ言葉にしてみることが、いざというときの落ち着いた行動につながります。
4つ目|日頃から、少しずつ備えておきたいこと
環境省は、ペットとの同行避難に備え、キャリーバッグやケージに慣れさせておくこと、十分な水や食料に加えて常備薬を用意しておくこと、避難場所や避難ルートをあらかじめ確認しておくことを呼びかけています。人と同じように、ペット用の備蓄も複数日分を用意しておくと安心につながります。
迷子札やマイクロチップなど、離れてしまったときに飼い主とペットを結び直すための備えも、日頃からできることの一つです。
万一、災害時にペットと離れてしまったり、けがをしてしまったりしたときの行動については「昔ながらの応急手当」が、今も信じられてしまう心の仕組みともあわせて知っておくと、いざというときの安心につながります。
避難所でのペットの受け入れがはっきりしないことに、不安を感じている方は少なくないと感じています。それは決して、飼い主の方の準備不足ではありません。
だからこそ「避難所に行くこと」だけを正解にせず、自宅が安全なら在宅避難、難しければ避難所や預け先というように、いくつかの選択肢を持っておくことをおすすめしたいです。
今日からできる、3つの小さな一歩
すべてを一度に見直す必要はありません。まずは1つだけ確認してみてください。
自宅が安全かどうかを確認し、在宅避難ができそうか考えてみる
キャリーバッグやケージを、普段の生活の中に置いてみる
親戚や友人・ペットホテルなど、いざというときの預け先の候補を考えてみる
まずは1つだけ、今日試してみるところから。それだけで十分な一歩です。
とらまるくんと考えてみよう
あなたのご家庭では、ペットとの避難について、どこまで話し合っていますか。避難所ありきで考えなくても大丈夫です。
まずは自宅の安全性を確認してみることから、始めてみませんか。
ペットとの避難 よくある質問
避難所に問い合わせても、はっきりした答えが返ってきません。どうすればいいですか?
避難所ごとにペットの受け入れ方が異なり、同室で過ごせるとは限らず、現場での対応が追いついていないこともあります。これは飼い主の準備不足ではなく、体制側の課題であることも少なくありません。回答があいまいな場合は、「避難所に行くこと」だけを前提にせず、自宅が安全であれば在宅避難を選ぶ、親戚や友人・ペットホテルに預けるなど、複数の選択肢を持っておくと安心につながります。
キャリーバッグを嫌がるペットは、どうすればいいですか?
普段からキャリーバッグやケージを生活空間に置き、遊び場やくつろぐ場所として慣れさせておくことがすすめられています。災害時にいきなり使うのではなく、日頃から少しずつ慣らしておくことが負担の軽減につながります。
ペット用の備蓄は何を用意すればいいですか?
フードや水、常備薬、キャリーバッグやケージ、予備の首輪やリード、排泄物の処理用具などが挙げられます。人の備えと同じように、複数日分を目安に用意しておくと安心です。
マイクロチップは用意しておいた方がいいですか?
必須ではありませんが、迷子札や鑑札とあわせて、離れてしまったときに飼い主とペットを結び直すための備えの一つとして紹介されています。ご家庭の状況に合わせて検討してみてください。
この記事のポイント
- 「同行避難」は移動を伴う避難行動、「同伴避難」は避難所での飼養管理の状態を指す、異なる言葉。
- 避難所の受け入れ方針は現場でも整理しきれていないことがあり、はっきりしないのは準備不足のせいではない。
- 自宅が安全なら在宅避難、難しければ避難所や預け先——複数の選択肢を日頃から考えておく。
- キャリーバッグ・ケージへの慣れ、複数日分の備蓄、所有者明示も、日頃からできる備え。
まとめ
ペットとの避難は、「避難所に行くこと」だけを前提にせず、在宅避難という選択肢も含めて、その後どう過ごすかまで少しずつ具体的に決めておくことが大切です。避難所の受け入れ方針がはっきりしないことは、飼い主の準備不足ではありません。
自宅が安全なら在宅避難、難しければ避難所や預け先。そうした選択肢を日頃から言葉にしておくことが、いざというときの落ち着いた行動につながります。
今日、まずは自宅の安全性を確認してみることから。それだけが、ペットとの避難を考える入口になります。
日常を整えることが、そのまま非常時の安心につながる。
とらまる
一緒に学ぶ仲間
白いしっぽの先がチャームポイントの、好奇心いっぱいのトラの子。わからないことは素直に「どうして?」と聞くのが得意で、みんなの「聞きたいけど聞けない」を代わりに聞いてくれます。
ふくぼう先生からもらった「まなびのスカーフ」が自慢です。
▶ とらまるのプロフィールはこちら ›関連記事
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いただいたご質問は、今後の記事づくりの参考にさせていただきます
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現場経験や実践例を交えながら、より実践的に学べる設計図を少しずつ育てています。
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