子どもの通学路を、地形の目線で一度見直してみる
STEP1|土地の設計図
子どもの通学路を、地形の目線で一度見直してみる
子どもと手をつないで歩く通学路。ランドセルの後ろ姿を見送る朝の時間。そんな何気ない毎日の道を、たまには地形の目線で眺めてみませんか。
「通学路の安全」というと、不審者対策や交通量ばかりが話題になりがちです。でも坂の傾きや低い場所を知っておくことも、雨の日の判断を変えてくれます。この記事では、いつもの通学路を地形の目線で見直すポイントを、長年の消防活動の経験をもとに整理していきます。
30秒でわかるまとめ
このページが目指すこと
「通学路は危険がいっぱい」と子どもを怖がらせるためのページではありません。親子で歩くいつもの時間の延長で、「この道、意外と坂があるね」と気づけるようになることが目標です。
今日はまず、通学路を地形の目線で見直すときに意識したいポイントを、一緒に確認していきましょう。
この記事でわかること
- 通学路を地形の目線で見直すときに意識したい3つのポイント
- 地形図・地理院地図で通学路の高低差を確認する方法
- アンダーパス・用水路など、雨の日に注意したい場所の見分け方
- ハザードマップと重ねて「代わりの道」を決めておく考え方
- 子どもを怖がらせずに、一緒に地形を見る習慣を育てる工夫
「毎日歩いてる道だから、もう知ってるつもりなんだけど」
毎日歩く道だからこそ、意外と「地形」までは意識していないことが多いんです。
坂の傾きや低い場所は、晴れた日には気づきにくいもの。雨の日にはじめて気づくより、晴れた日に一度見直しておく方が安心です。
親子で歩く時間に、地形の目線を1つ足してみる
登校班の集合場所まで歩く朝、お迎えのあとに寄り道する帰り道——通学路は、親子にとって何気ない会話が生まれる大切な時間でもあります。その時間を大切にしたいというのが、この記事のいちばんの前提です。
「通学路の安全点検をしなければ」という入口だと、身構えてしまいます。でも「この坂、意外ときついね」「この道、川のそばを通ってるんだね」という会話の延長なら、自然と続けられます。
親子で歩く時間に、地形の目線をほんの少し足してみましょう。
「晴れの日に歩いておいてよかった」という声
地域の防災士活動を通じて、通学路にまつわる話を聞いたことがあります。はっきりとは覚えていませんが、「大雨の日、いつもの通学路のアンダーパスに水がたまっていて、子どもと違う道を探すことになった」という趣旨の話だったと思います。
その方は「晴れた日に、子どもと一緒に通学路をあらためて歩いてみたことがあった。そのときに『ここは低くなっているな』と気づいていたから、雨の日にすぐ別の道を選べた」と話していたように記憶しています。特別な準備というより、一度歩いて気づいていたかどうかの違いだったようです。
通学路は毎日歩く道だからこそ、あらためて地形の目線で見直す機会は意外と少ないのかもしれません。
通学路の備えは、特別な点検より先に「晴れた日に一度歩いておくこと」から始まります。
1つ目|地理院地図で、通学路の坂を「見える化」する
国土地理院の地理院地図には、高低差を色や陰影で表示する「陰影段彩図」という機能があります。通学路の住所やルートを検索してみると、普段歩いている道のどこが高く、どこが低いかが視覚的にわかります。
①学校までの主なルート:坂が集中している区間はどこか。
②周辺の低い場所:川や水路の近くを通っていないか。
③別ルートの有無:同じ低い区間を通らない道があるかどうか。
古い地図・地形の読み方の基本は「地名が教えてくれること|『水・田・低』がつく土地の見方」にまとめています。地名に「水」「田」「低」を思わせる文字が使われていないかも、あわせて確認してみてください。
2つ目|アンダーパス・用水路沿いは、実際に歩いて確認する
地形図で高低差がわかったら、次は実際に歩いて確認したい場所が2つあります。
周辺より低い位置にあるため、大雨のときに水がたまりやすい場所です。冠水すると通行できなくなることがあります。
増水すると道と水路の境目がわかりにくくなることがあります。ふだんは気にならない場所こそ、大雨のときの様子を想像しておくと安心です。
3つ目|通学路をハザードマップと重ねて、雨の日用の道を決めておく
通学路の中で気になる区間が見つかったら、国土交通省の「重ねるハザードマップ」で洪水浸水想定区域と重ねてみましょう。区間ごとのリスクが具体的に見えてきます。
「大雨のときは、いつもの道の代わりにこの道を通る」という代わりのルートを、家族で1つだけ決めておくこと。子どもにも「雨の日はこっちの道だよ」と伝えておくと、いざというときに迷いません。
家の中の安全対策とあわせて考えたい方は「子どもがいる家の転倒防止」もご覧ください。
「子どもに通学路の危険を教えなきゃ」と思うと、身構えてしまいますよね。でも「この道、坂があるね」「ここ川の近くだね」というくらいの会話で十分です。
怖がらせる必要はありません。一緒に歩きながら気づいたことを話す、それだけで子ども自身も地形を意識するようになっていきます。
今度の休日にできる、3つの小さな一歩
すべてを一度に確認する必要はありません。今度の休日、子どもと歩くときに1つだけ意識してみてください。
地理院地図で通学路のルートを検索し、坂や低い場所を確認してみる
晴れた休日に、子どもと通学路を歩きながら「この道、坂があるね」と話してみる
「大雨の日はこの道」という代わりのルートを、家族で1つ決めておく
まずは地図を開いて、いつもの道を眺めてみるところからで十分です。
とらまるくんと考えてみよう
親子で歩く時間はそのままで大丈夫です。そこに「地形の目線」を1つ足すこと。
それだけで、雨の日に迷わず動ける安心につながると考えています。
通学路の地形確認 よくある質問
子どもに「通学路が危ない」と伝えると、怖がらせてしまいませんか?
危険を強調する必要はありません。「この道、坂があるね」「ここ川の近くだね」というくらいの、日常会話の延長で十分です。一緒に地図を見ながら気づいたことを話す姿勢が大切です。
アンダーパスが通学路にある場合、どうすればいいですか?
アンダーパスがあること自体が問題というわけではありません。大雨のときに冠水しやすい場所だと知っておき、その日は別の道を使う、というルールを家族で決めておくことが大切です。
地理院地図の陰影段彩図は、どうやって見ればいいですか?
地理院地図のウェブサイトで住所やルートを検索し、表示設定から「陰影起伏図」や「傾斜量図」などのレイヤーを選ぶと、高低差が色や陰影で表示されます。スマホからも操作できます。
学区が決まる前でも、通学路の確認はできますか?
学区が確定する前は、候補地周辺の主要な道の地形やハザードマップを確認しておくとよいでしょう。実際の通学路が確定したら、あらためて親子で歩いて確認することをおすすめします。
この記事のポイント
- 通学路には坂道・低い場所・アンダーパスなど、地形によって表情が変わる区間がある。
- 地理院地図の陰影段彩図を使うと、通学路の高低差が視覚的にわかる。
- アンダーパス・用水路沿いの道は、大雨時に水がたまりやすい場所として知っておく。
- ハザードマップと重ねて、大雨の日用の「代わりの道」を家族で決めておくと安心。
- 子どもを怖がらせず、親子の会話の延長として地形の目線を育てる。
まとめ
子どもと手をつないで歩く通学路。その何気ない毎日の時間に、地形の目線をほんの少し足してみてください。
地理院地図で高低差を確認する、アンダーパスや用水路沿いを実際に歩いて見ておく、ハザードマップと重ねて雨の日用の道を決めておく。この3つは、親子の会話の延長で自然と身につけられることです。
今度の休日、まずは地図を開いて、いつもの通学路を眺めてみてください。それだけが、地形の目線を育てる入口になります。
日常を整えることが、そのまま非常時の安心につながる。
とらまる
一緒に学ぶ仲間
白いしっぽの先がチャームポイントの、好奇心いっぱいのトラの子。わからないことは素直に「どうして?」と聞くのが得意で、みんなの「聞きたいけど聞けない」を代わりに聞いてくれます。
ふくぼう先生からもらった「まなびのスカーフ」が自慢です。
▶ とらまるのプロフィールはこちら ›関連記事
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いただいたご質問は、今後の記事づくりの参考にさせていただきます
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