子どもがいる家の転倒防止|地震で家電・家具が凶器になる前にできること
STEP2|家の設計図
子どもがいる家の家具・家電、転倒・落下対策できていますか?
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この記事は「STEP2|家を知る」の深掘り記事です。耐震基準の記事とあわせてお読みください。
「本棚や冷蔵庫が倒れたら」「炊飯器やポットが落ちてきたら」。子どもがいる家庭で、ふと不安になったことはありませんか。
家具固定は「防災のため」だけではありません。家電の破損を防ぎ、片付けの手間を減らし、毎日安心して過ごせる家をつくるためのものです。今日から少しずつ始められます。
30秒でわかるまとめ
この記事でわかること
- 能登半島地震から見えた家具固定の重要性
- 大型家具・家電・小物それぞれの固定の考え方
- 突っ張り棒とL字金具の正しい組み合わせ方
- 食器棚の扉ストッパーが必要な理由
- 寝室を「絶対安全スペース」にする考え方
ふくぼう先生の現場メモ
防災の活動や講話を通じて感じることがあります。「家具を固定しなければ」と頭ではわかっていても、実際に固定している家庭はまだ多くないということです。
大きな地震が来ると言われているこの時代でも、家具の固定をしていない家庭が一定数います。阪神淡路大震災、熊本地震、そして能登半島地震。繰り返される地震の教訓が、まだ十分に日常の備えに結びついていないと感じます。
特に印象に残っているのは、家電の危険性への認識が低いことです。大型の棚や本棚の固定は知っていても、炊飯器やポット、電子レンジなどの家電が地震時に凶器になることを意識している方は多くありません。
家具固定は「大きな家具だけ」ではありません。家の中にあるすべてのものが、大きな揺れでは動きます。日常の暮らしを整えることが、そのまま非常時の安心につながる。家具固定は、その第一歩です。
能登半島地震が示した現実
2024年1月1日、能登半島地震(最大震度7)が発生しました。多くの方が家屋の倒壊や家具の転倒によって命を落とし、その現実が改めて家の中の安全の重要性を示しました。
警察庁の集計によると、能登半島地震で死因が確認された222人のうち、「圧死」が92人(41%)と最も多く、「窒息・呼吸不全」が49人(22%)で続きました。
倒壊した家屋の下敷きになったり、転倒した家具に挟まれたりしたことが、多くの命を奪いました。耐震化が進んでいない古い木造家屋が多かったことが主な要因ですが、家具の固定状況も生死を分ける要因のひとつです。
阪神淡路大震災(1995年)・熊本地震(2016年)・能登半島地震(2024年)。いずれの地震でも、家屋倒壊や家具転倒による被害が多数報告されています。地震のたびに「家具を固定しておけば」という声が繰り返されています。
出典:警察庁「令和6年能登半島地震の被害状況」(2024年1月30日時点)/ 日本経済新聞「能登半島地震の死者、圧死が4割」
まず固定すべき場所の優先順位
「全部やらなければ」と思うと、なかなか動き出せません。まず1箇所だけでも始めることが大切です。優先順位の高い場所から、一つずつ取り組みましょう。
寝室の家具・家電
就寝中は体が動かせず、逃げることができません。寝ている間に家具が倒れてきたら、避ける時間も手段もありません。寝室は「絶対安全スペース」として最優先で整えてください。
玄関・廊下の家具
避難経路に家具が倒れると、逃げ道を塞ぎます。玄関や廊下に背の高い家具を置いている場合は、固定または移動を検討してください。
背の高い本棚・食器棚・冷蔵庫
重心が高く、揺れで倒れやすい家具です。倒れた場合の被害範囲が広く、下敷きになるリスクが高いため、早めの固定が必要です。
テレビ・電子レンジ・炊飯器・ポット
「家電は小さいから大丈夫」は危険な思い込みです。熱湯の入ったポットや重い電子レンジが頭上から落ちてくることを想像してみてください。特に小さなお子さんがいる家庭では最優先事項です。
突っ張り棒だけでは不十分な理由
突っ張り棒(耐震ポール)は手軽に使えて効果もあります。ただし、単体では限界があることを知っておいてください。
突っ張り棒単体の弱点
天井が薄い・弱い場合は天井が抜けてしまうことがある。
家具が横方向にずれる動きには対応しにくい。
経年劣化でゆるみが生じ、設置時より固定力が落ちていることがある。
組み合わせで安全性が上がる
突っ張り棒+L字固定金具:上下と背面の両方を固定することで転倒・ずれを防ぐ。
突っ張り棒+耐震マット:底面の滑りを防ぎ、横方向のずれを抑える。
賃貸でも使えるL字金具も増えており、デザイン性も向上しています。
- 壁に穴を開けられる場合はビス留めタイプが最も確実
- 賃貸の場合は穴不要の粘着タイプまたは突っ張りタイプを選ぶ
- 家具と壁の素材・距離に合ったサイズを確認する
- 複数個所に取り付けるほど効果が上がる
見落としがちな食器棚の扉ストッパー
食器棚を固定しても、扉の対策を忘れると不十分です。揺れで扉が開き、食器が一斉に飛び出すことがあります。
割れた食器が床に散乱した状態では、裸足での避難が困難になります。停電中の片付けは視界が確保できず、さらに危険を伴います。
- 食器棚の扉に耐震ラッチ(開き防止器具)を取り付ける
- 重い食器・割れやすい食器は下の段に収納する
- 使用頻度の低い食器は別の場所に収納する
- 食器棚本体も突っ張り棒+L字金具で固定する
食器棚対策は家財を守るだけでなく、避難経路と在宅避難の両方に関わります。散乱した食器の片付けは体力と時間を奪い、電気のない状況では非常に困難です。
寝室を「絶対安全スペース」にする
家の中で最初に安全を整えるべき場所は寝室です。寝ている間は体が動かせず、最も無防備な状態にあるからです。
- ベッドや布団の周囲に倒れやすい家具を置いていないか
- 頭上・足元に落下しそうなものがないか
- テレビ・照明など高い場所の家電が固定されているか
- 枕元に靴(スリッパ)を置いているか(散乱したガラスや物の上を歩くため)
- 寝室の窓に飛散防止フィルムが貼られているか
地震時には窓ガラスが割れて飛散することがあります。割れたガラスは裸足での移動を妨げ、避難の障害になります。寝室の窓への飛散防止フィルムの貼り付けは、コストが低く効果が高い対策です。窓の飛散防止・寝室の安全確保については、別記事でより詳しくお伝えします。
家具固定は「財産を守る」意味もある
家具固定は命を守るためだけではありません。家電が落ちれば買い替えコストが発生し、食器が散乱すれば片付けに莫大な時間と労力がかかります。家族の安全と財産を同時に守る取り組みです。
さらに、家の中が散乱した状態では在宅避難が困難になります。家具・家電・食器が床に散乱すると、普段通りの生活を維持することがほぼ不可能になります。
整った家は、日常も非常時も変わらず暮らせる場所になる。家具固定は「防災のため」だけでなく、毎日の暮らしを守るためでもあります。
- 命・怪我の防止(最優先)
- 避難経路の確保
- 在宅避難できる環境の維持
- 家電・家財の破損防止(財産を守る)
- 後片付けの手間と危険の軽減
よくある質問
Q. 賃貸住宅でも家具固定はできますか?
できます。穴を開けずに使える粘着タイプのL字金具、突っ張りタイプの固定器具、耐震マットなど、賃貸でも使える製品が多数あります。退去時に原状回復できる製品を選ぶことがポイントです。
Q. 突っ張り棒は定期的に確認が必要ですか?
必要です。突っ張り棒は経年劣化や温度変化でゆるむことがあります。半年に1回程度、しっかり固定されているか確認することをおすすめします。
Q. 子どもが小さいので家具固定の優先順位がわかりません。
子どもの目線・行動範囲を基準に考えてください。子どもの頭上にあるもの・子どもが触れる場所にあるものを最優先で固定します。特に熱湯を使う家電(ポット・炊飯器)は子どもの手が届かない場所への移動も検討してください。
Q. 食器棚の耐震ラッチとはどういうものですか?
食器棚の扉内側に取り付ける器具で、地震の揺れを感知すると扉が自動的にロックされる仕組みです。揺れが収まると手動で解除できます。後付けで取り付けられる製品も多くあります。
この記事のポイント
- 能登半島地震の死因の41%は圧死。家具固定は命に直結する
- 固定の優先順位は①寝室②玄関・廊下③背の高い家具④家電の順
- 突っ張り棒単体では不十分。L字金具・耐震マットとの組み合わせが効果的
- 食器棚の扉ストッパーは避難経路確保と在宅避難にも関わる
- 家具固定は命・財産・在宅避難の3つを同時に守る
まとめ
土地を知り、家の耐震性を知った次のステップは、家の中を整えることです。家具固定は特別な知識がなくても、今日から始められる備えです。
まず寝室から始めてください。寝ている間は無防備です。寝室を安全にすることが、家族の命を守る最初の一手になります。
家の中が整っていれば、日常も非常時も、暮らしは続く。
家具固定は「もしもの備え」ではなく、今日からの安心です。
日常の暮らしを整えることが、そのまま非常時の安心につながる。それがフェーズフリーな考え方です。家具を固定した部屋で、安心して眠れる夜が増えていく。その積み重ねが、家族を守る暮らしの土台になります。
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