避難場所と避難所、どう違う?いざという時に後悔しない選び方
STEP1|土地の設計図
避難場所と避難所、どう違う?いざという時に後悔しない選び方
「避難場所と避難所って、同じでしょ?」——防災の講義でそう思っている方が、実はとても多いのが現実です。
文字も似ているし、どちらも「逃げる場所」のイメージ。でも役割はまったく違い、災害の種類によって行くべき場所も変わります。
この違いをハザードマップで確認した瞬間、「ほんとだ!学校は地震には○なのに、川が近いから水害には×になってる」と気づく方がたくさんいます。
知識として覚えるのではなく、実際に地図を開いて確かめることが、いざという時の安心につながります。
30秒でわかるまとめ
このページが目指すこと
この記事の目的は、「避難場所と避難所の違いを暗記すること」ではありません。
ハザードマップを実際に開いて、「わが家の近くの学校は地震には使えるけど、水害には使えないんだ」と自分ごととして気づくことです。その一歩が、いざという時の判断を変えます。
この記事でわかること
- 「避難場所」と「避難所」それぞれの役割と使うタイミング
- 同じ場所でも「災害の種類」によって使える・使えないが変わる理由
- 「近くの学校に行けばいい」が半分しか正しくない理由
- ハザードマップで確認する具体的な方法
- 家族で決めておきたいこと
「どっちも逃げる場所でしょ?」
実はまったく役割が違うんです。とらまるくんのように思っている方、とても多いんですよ。
もうひとつ大事なのが、同じ場所でも「地震には○・水害には×」という指定があること。ハザードマップを開くとすぐにわかります。一緒に確認してみましょう。
「知っているつもり」が、一番危ない
防災の講義でよく聞く声があります。「避難場所と避難所って同じじゃないの?」「地震が来たら学校へ行けばいいんでしょ?」
その感覚は、とても自然なものです。文字も似ているし、どちらも「いざという時に逃げる場所」というイメージがある。でも実際には、役割がまったく違います。
「なんとなくわかっているつもり」は、いざという時に判断を迷わせます。
この記事では、その違いをシンプルに整理した上で、「自分の地域ではどうなっているか」をハザードマップで確認する方法をお伝えします。知識として頭に入れるより、一度自分で確かめる体験が、何倍も安心につながります。
講義で聞いてみると、「そうなの?」という反応ばかりだった
長年の消防活動の経験をもとに、地域の方々へ防災の話をする機会がありました。そのたびに、参加者の方に確認するようにしていたことがあります。
「避難場所と避難所の違い、わかりますか?」
返ってくる反応のほとんどが「えっ、違うんですか?」「どっちも同じかと思ってました」というものでした。防災意識が高い方でも、この二つをはっきり区別していた方は多くありませんでした。
さらに印象的だったのは、「川沿いにある学校」の話をした時です。「地震の時は避難場所になっているのに、水害の時は使えないんです」と説明すると、みなさんが「ほんと?」という顔をする。そしてその場でハザードマップを開いてもらうと——
「ほんとだ!学校が地震には○なのに、洪水には×になってる!」という声が、毎回のように上がりました。頭で聞くより、自分の目で確かめた瞬間に「わかった」になる。それを何度も見てきました。
「避難場所」と「避難所」の違い
災害が発生した、またはまさに発生しそうな時に、命を守るために一時的に逃げる場所です。公園・広場・高台など、主に屋外の開けた場所が指定されています。
「まず外へ出て、安全な場所へ移動する」という局面で向かう場所です。
自宅が損壊・浸水するなどして戻れない場合に、一定期間生活するための場所です。学校・公民館・体育館などが指定されています。
「家に戻れない状況が続く」局面で生活の拠点となる場所です。
避難場所:命を守る(まず逃げる先)
避難所:生活を続ける(長く滞在する先)
行くタイミングも、目的も、まったく違います。
「近くの学校に行けばいい」は半分だけ正しい
多くの方が「地震が来たら学校へ」と思っています。でも、これは半分しか正しくありません。
学校が「指定避難所」になっているケースは多いです。一方で、「指定緊急避難場所(水害)」に指定されているかどうかは別の話。川が近い学校は、水害時の避難場所には指定されていないことがほとんどです。
- 学校の校舎 → 「指定避難所」◯ / 「水害時の避難場所」× (川沿いの場合)
- 学校の校庭 → 「地震時の避難場所」◯ / 「水害時」× (低地の場合)
- 近くの高台の公園 → 「水害・土砂時の避難場所」◯ / 「避難所」× (建物なし)
同じ「学校」でも、災害の種類によって行くべき場所が変わるのです。これを知らずに水害時に川沿いの学校へ向かうと、かえって危険な状況になる可能性があります。
「災害の種類ごとに○×がある」をハザードマップで確認する
指定緊急避難場所には、それぞれ「対応する災害の種類」が決まっています。市区町村が公表しているハザードマップや一覧表を開くと、各施設に次のような○×表示があります。
| 場所の例 | 地震 | 洪水・水害 | 土砂災害 | 津波 |
|---|---|---|---|---|
| 川沿いの小学校(校庭) | ◯ | × | ◯ | × |
| 高台の公園・広場 | ◯ | ◯ | ×(斜面近くの場合) | ◯ |
| 内陸部の広場 | ◯ | ◯ | ◯ | —(対象外エリア) |
※上記はイメージ例です。実際の指定内容はお住まいの市区町村のハザードマップでご確認ください。
- ① 「(市区町村名) 指定緊急避難場所」で検索する
- ② または国土交通省「重ねるハザードマップ(disaportal.gsi.go.jp)」を開く
- ③ 自宅周辺を拡大して、近くの避難場所をタップ・クリック → 災害種別の○×が表示される
「ほんとだ、川沿いの学校が水害×になってる!」——この気づきが、いざという時の行動を変えます。ぜひ今、実際に開いてみてください。
「2段階」で考えると整理しやすい
避難の流れは、大きく2つの段階に分けると整理しやすくなります。
危険が迫った時、まず向かう場所です。屋外の広場・高台など開けた場所で安全を確保します。「その災害に対応しているか」をあらかじめ確認しておくことが重要です。
自宅に戻れない状況が続く場合に、生活の拠点となる場所です。食事・睡眠・情報収集ができる環境が整います。
「まず安全な場所へ → 状況を見て生活の場へ」という2段階の流れを、家族で共有しておくことが大切だと感じています。
「在宅避難」という選択肢もあります。自宅が安全な状態(倒壊・浸水のリスクがない)で、ライフラインがある程度確保できていれば、避難所に行かずに自宅で過ごすことが安心なこともあります。
避難所の混雑や感染リスクを避けられる側面もあります。「いざとなれば避難所へ」だけでなく、「自宅に留まるか・外へ出るか」の判断基準を事前に持っておくことも、安心の設計図になります。
まず1か所だけ、今日確かめる
すべてを一度に把握しなくて大丈夫です。今日できることは、自宅から一番近い「指定緊急避難場所」を1か所だけ調べること。そして、「どの災害に対応しているか」を確認すること。
市区町村のWebサイトで「指定緊急避難場所 一覧」を検索する
国土交通省「重ねるハザードマップ」で自宅周辺の場所をタップして確認する
自治体から届いているハザードマップ(冊子版)の一覧表を確認する
調べた場所を家族に「ここが一番近い避難場所だよ、でも水害の時は別の場所に行こうね」と伝えるだけで、いざという時の迷いがなくなります。
とらまるくんと考えてみよう
あなたの地域の「指定緊急避難場所」、調べてみたことはありますか?
ハザードマップを開いて近くの学校や公園をタップしてみると、「ほんとだ、水害には×になってる」という気づきがきっとあります。その体験が、いざという時の安心の根拠になります。
避難場所・避難所 よくある質問
避難場所と避難所が同じ場所(学校)に指定されていることはありますか?
はい、あります。学校の体育館や校舎が「指定避難所」に、校庭が「地震・火災時の指定緊急避難場所」に指定されているケースは多くあります。ただし、川が近い学校は「水害時の避難場所」には指定されていないことが多いため、市区町村のハザードマップで災害種別ごとの対応を確認することが大切です。
「避難所に行けばいい」ではダメなのですか?
ケースによります。自宅が安全であれば、無理に避難所へ行かず「在宅避難」を選ぶ方が安心なこともあります。また、発災直後の危険な状況では、まず「指定緊急避難場所(一時避難)」へ向かい、その後「避難所」へ移動するという2段階の流れが基本です。「とにかく避難所へ」では、行くタイミングや場所を間違える可能性があります。
避難場所・避難所の情報はどこで確認できますか?
お住まいの市区町村のWebサイト、または自治体が配布しているハザードマップに記載されています。国土交通省の「重ねるハザードマップ(disaportal.gsi.go.jp)」では地図上で確認でき、施設をタップすると対応する災害の種類を確認できます。引越しや家族構成が変わったタイミングで、改めて見直すことをおすすめします。
自治会の集合場所と「指定緊急避難場所」は違いますか?
異なることがほとんどです。自治会の集合場所は地域で自主的に決めた場所であり、市区町村が正式に指定した「指定緊急避難場所」とは別物です。それぞれ把握しておくと安心です。なお、自治会の集合場所が指定緊急避難場所と同じ場所になっているケースもあります。
この記事のポイント
- 「避難場所」は命を守るための一時的な場所、「避難所」は生活を続ける場所。役割がまったく違う。
- 同じ学校でも「地震時は○・水害時は×」という指定がある。災害の種類によって行くべき場所が変わる。
- 「近くの学校へ」は半分しか正しくない。川沿いの学校は水害時の避難場所に指定されていないことが多い。
- ハザードマップを開いて、わが家の近くの避難場所の「対応災害種別」を自分で確認することが大切。
- まず1か所調べて、家族に共有する。それが安心の最初の一歩になる。
まとめ
「避難場所と避難所の違いを知っている人がほとんどいなかった」というのは、防災の講義でよく感じることです。難しい内容ではないのに、なぜかすれ違ってきた知識のひとつです。
でも、ハザードマップを一度開いてみると、「ほんとだ!」と気づく瞬間が必ずあります。知識として頭に入れるより、その一枚の地図を自分の目で確かめる体験が、何倍も安心の根拠になります。
「わが家に一番近い避難場所」「水害の時はここへ、地震の時はここへ」——それを家族で共有しておくだけで、いざという時の判断が変わります。
日常を整えることが、そのまま非常時の安心につながる。
とらまる
一緒に学ぶ仲間
白いしっぽの先がチャームポイントの、好奇心いっぱいのトラの子。わからないことは素直に「どうして?」と聞くのが得意で、みんなの「聞きたいけど聞けない」を代わりに聞いてくれます。
ふくぼう先生からもらった「まなびのスカーフ」が自慢です。
▶ とらまるのプロフィールはこちら ›関連記事
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いただいたご質問は、今後の記事づくりの参考にさせていただきます
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