家を買う前・引越し前に知りたいこと|古地図・地名・地形で読む土地の安全性
STEP1|土地の設計図
家を買う前・引越し前に、この視点を持っているだけで安心が変わる。
本質の防災4STEP
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この記事は、ハザードマップの次のステップとして、土地の特徴をより深く知るための記事です。
「ハザードマップは確認した。でも、それだけで本当に大丈夫?」そう感じたことはありませんか。
地名・古地図・近所の道路の状態。実は身近なところに、その土地の特徴を示すサインが隠れています。
難しいツールは不要です。自分の住所の地名を調べるだけで、土地のリスクが見えてくることがあります。家を買う前・引越し前・今住んでいる場所をもっと深く知りたい方に読んでほしい記事です。
30秒でわかるまとめ
この記事でわかること
- 海抜が低い土地の「津波以外」のリスク
- 古地図から読み解ける液状化・地盤沈下のリスク
- 地名に隠された土地の特徴の読み方
- 古い神社が「安全地帯のサイン」になる理由
- 国土地理院の地理院地図の活用方法
ふくぼう先生の現場メモ
現場経験から学んだことがあります。東日本大震災後、津波への意識は大きく高まりました。しかし現場を通じて感じるのは、津波以外の土地リスクへの意識が薄れがちだということです。
海抜が低い土地は、津波だけでなく大雨の際にも浸水するリスクがあります。水は必ず高いところから低いところへ流れます。大雨が降れば、周辺の高い土地から水が流れ込んでくるのは当然のことです。
ハザードマップを「津波用」「洪水用」と別々に見るのではなく、「この土地はどんな特徴を持っているのか」という視点で総合的に見ることが大切だと、現場を通じて実感してきました。
古地図・地名・地形の3つを組み合わせると、土地の特徴が立体的に見えてきます。ハザードマップと照らし合わせると、大体の予想が当たります。
海抜が低い土地は「津波だけ」ではない
「海抜○メートル」という標識を見かけることが増えました。海抜が低い土地は津波リスクがあると知っている方は多いですが、実はそれだけではありません。大雨・台風でも浸水しやすいという特徴があります。
大雨・台風時の浸水
水は高いところから低いところへ流れます。海抜が低い土地には、周辺の高い土地から雨水が流れ込みやすくなります。排水が追いつかない場合、内水氾濫として浸水することがあります。
河川の氾濫による浸水
川の近くで海抜が低い土地は、河川が増水した際に氾濫の影響を受けやすくなります。ハザードマップの洪水想定区域と海抜をあわせて確認することが重要です。
海から離れた内陸部でも、川沿いや低地では大雨時に浸水することがあります。「海の近くではないから大丈夫」という判断は危険です。ハザードマップは「洪水」「土砂災害」「津波」など種類ごとに確認し、自分の土地が複数のリスクを持っていないか確認することが大切です。
古地図から読み解ける土地のリスク
今の地図を見ても、その土地がかつて何だったかはわかりません。昔の沢・池・川が埋め立てられて宅地になっていることは珍しくなく、その特性は現在も地盤に残っています。古地図を見ることで、現代の地図では見えないリスクが見えてきます。
埋立地
海・湖・池などを埋め立てた土地。地盤が緩く、地震時の液状化リスクが高いとされています。
旧河道・旧池沼
かつて川や沼だった場所。埋め立てや整備で見えなくなっていても、地盤の特性は残ります。液状化が起きやすい地形です。
埋められた小さな沢
かつて小さな支流が流れていた場所を整備・埋め立てた土地。地盤沈下が起きやすい場合があります。
国土地理院は「東北地方太平洋沖地震の際は、昔は川や沼だった場所で集中的に液状化現象が生じた」と公表しています。液状化が起きやすい地形として、埋立地・旧河道(以前、川だった場所)・旧池沼などが挙げられており、これらは緩い砂地盤で地下水位も浅いことが想定されます。
出典:国土地理院「土地の成り立ちから災害リスクを知る」/ 国土交通省「地形区分に基づく液状化の発生傾向図」
地名から読み解く土地の記憶
古地図を探すのが難しいと感じたら、まず地名から調べるのが一番手軽です。昔の人はその土地の特徴をもとに名前をつけることが多く、地名には土地の歴史が刻まれています。スマホで自分の住所を調べるだけで始められます。
地名に含まれる文字を見るだけで、その土地がどのような特徴を持っていたかのヒントが得られます。
- 住所の町名・字名(あざめい)を確認する
- 古い地名が残っている場合は旧地名も調べる
- 地名だけで判断せず、ハザードマップと照らし合わせる
- 予想とハザードマップが一致していたら、その土地の特徴として意識しておく
参考:国土地理院「地名と水害」
古い神社は「安全地帯のサイン」になる
土地の安全性を知る意外なヒントが、古い神社の場所にあります。
数百年・時には千年以上にわたって存在し続けている神社は、過去の大規模な地震・洪水・土砂災害を乗り越えて現在の場所に立っています。先人たちが「災害を受けにくい安全な場所」を選んで建てたと考えることができます。
古い神社が今も同じ場所に立ち続けているということは、その土地が長い年月にわたって安定していた証拠のひとつです。
- 地域の古い神社の場所をGoogleマップ等で確認する
- ハザードマップと重ねて、神社周辺のリスクを確認する
- 避難場所の候補として神社周辺の高台を把握しておく
※すべての神社が安全地帯というわけではありません。あくまでも土地の特徴を知る手がかりのひとつとして活用してください。必ずハザードマップと合わせて確認しましょう。
日常の中で気づける土地のサイン
実は、特別な調査をしなくても、日常の景色の中に土地の特徴を示すサインが隠れています。
水の流れが悪い・悪臭がある
雨後に水がたまりやすい・排水が悪い・悪臭が出やすい場所は、もともと池・田んぼ・沼地・低湿地だった可能性があります。地盤が軟弱で液状化リスクが高いことも考えられます。
道路がいつもボコボコで定期工事が繰り返される
道路に段差・たわみ・ひび割れが頻繁に生じ、定期的な補修工事が行われている場合は、地盤の不同沈下(地盤が不均一に沈む現象)が進んでいる可能性があります。地震時には地割れが起きやすい土地のサインでもあります。
地盤品質判定士会によると、不同沈下が起きやすい地盤の代表例として「池や沼地、田んぼを埋め立てた地盤」「軟弱層が堆積している地盤」が挙げられています。こうした軟弱地盤は液状化リスクとも重なります。また国土交通省の宅地点検の資料でも、液状化による不同沈下が宅地に広範囲の被害をもたらすことが示されています。
出典:一般社団法人 地盤品質判定士会「不同沈下の原因」/ 国土交通省「わが家の宅地点検」
- 国土地理院の地理院地図で地形分類を確認する
- 自治体の液状化ハザードマップを確認する
- ハザードマップの浸水想定区域と照らし合わせる
国土地理院の地理院地図を使った確認方法
古地図や地形分類図は、難しい手続きなしに無料で確認できます。国土地理院が公開している「地理院地図」をスマホやパソコンで開くだけです。
- 「地理院地図」で検索してアクセスする
- 左上の「地図」ボタンをクリック
- 「土地の成り立ち・土地利用」→「地形分類」を選択
- 知りたい地域を拡大してカラフルな地形分類図を確認する
- 着色部分をクリックすると「土地の成り立ち」と「自然災害リスク」が表示される
- 地理院地図の「地図・空中写真閲覧サービス」から確認できる
- 明治以降の旧版地形図・戦後の空中写真なども閲覧可能
- 現在の地図と見比べることで、土地の変化がわかる
出典:国土地理院「地図・空中写真閲覧サービス」
今日からできる土地の深掘り
- ① 自分の住所の地名に水・谷・崖などの文字が入っていないか確認する
- ② 国土地理院の地理院地図で地形分類を確認する
- ③ ハザードマップと照らし合わせて、予想と一致するか確認する
この3ステップを家族で一緒にやってみてください。「うちの地名に『沢』が入ってるね」という気づきが、防災の会話のきっかけになります。
よくある質問
Q. 古地図はどこで見られますか?
国土地理院の「地理院地図」で無料で確認できます。旧版地形図(明治以降)や空中写真も閲覧できます。「地理院地図 地図空中写真閲覧サービス」で検索してみてください。
Q. 地名にリスクを示す文字があったら引っ越した方がいいですか?
地名はあくまで土地の特徴を知る手がかりのひとつです。地名だけで判断するのではなく、ハザードマップや地形分類図と合わせて確認してください。リスクを知ったうえで適切な備えをすることが大切です。
Q. 液状化ハザードマップはありますか?
自治体によっては液状化危険度分布図を公開しています。お住まいの自治体ホームページで「液状化 ハザードマップ」と検索してみてください。国土交通省も都道府県ごとの液状化危険度分布図を公開しています。
Q. 新しく建てられた住宅地は安全ですか?
建築基準法により新しい住宅は耐震性能が高くなっていますが、土地のリスクは建物の耐震性とは別の話です。新しい住宅地でも、もともとの土地が埋立地・旧河道などであれば液状化リスクは残ります。土地の成り立ちを確認することは新旧問わず大切です。
この記事のポイント
- 海抜が低い土地は津波だけでなく、大雨時の浸水リスクも持っている
- 古地図で旧河道・旧池沼・埋立地を確認すると液状化リスクがわかる
- 地名に水・川・谷・沼などが含まれていたら土地の特徴のヒントになる
- 古い神社の場所は長年安定した土地のサインになることがある
- 国土地理院の地理院地図で無料で確認できる
まとめ
ハザードマップは防災の出発点です。しかし、古地図・地名・地形を組み合わせることで、ハザードマップだけでは見えてこない土地の特徴が立体的に見えてきます。
まず自分の地名を調べてみてください。そして地理院地図で地形分類を確認し、ハザードマップと照らし合わせてみてください。予想が当たった時、土地への理解が一段深まります。
防災は特別なことではありません。土地を知ることが、安心して暮らすための土台になります。
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