液状化リスクが高い土地はどこ?調べ方と見るべきポイント
STEP1|土地の設計図
液状化リスクが高い土地はどこ?調べ方と見るべきポイント
海沿いの新しい街並み、真新しいタワーマンション、整然とした区画の分譲地——そういう「新しくてきれいな街」に惹かれたことがある方に、ぜひ知っておいてほしいことがあります。
「新しく開発された街だから安心」というイメージを持たれがちですが、実は「新しさ」と「地盤の強さ」は別の話です。この記事では、液状化のリスクを調べる方法と、地図から見るべきポイントを、長年の消防活動の経験をもとに整理していきます。
30秒でわかるまとめ
このページが目指すこと
「新しく開発された街だから」「タワーマンションだから」——そういう見た目の新しさだけで、地盤の強さを判断していませんか。この記事の目標は、液状化が起きやすい地形の特徴を知り、自分の暮らす場所や気になっている土地のリスクを、地図を見ながら確かめられる状態になることです。
今日はまず、液状化が起こる仕組みと、それを調べるための具体的な方法を一緒に確認していきましょう。
この記事でわかること
- 液状化が起きやすい地盤の3つの条件
- 埋立地・旧河道など、液状化が起きやすい地形の特徴
- 国土交通省「重ねるハザードマップ」で液状化リスクを確認する方法
- 自治体の液状化マップ・無料の地盤診断サイトの活用のしかた
- 気になる土地を見つけたときに、次に確かめておきたいこと
「新しく開発された街だから、地盤も安心なんじゃないの?」
実は、街の新しさと地盤の強さは、あまり関係がないんです。
むしろ埋立地や、川だった場所を埋め立てて作られた土地は、地盤がゆるく、液状化が起こりやすい傾向があります。見た目がきれいに整っているほど、その下の地盤は見えにくくなります。
でも、液状化が起きやすい土地かどうかは、地図と少しの知識で事前に調べることができます。まずはその仕組みから見ていきましょう。
整然とした新しい街並みが好きだったら、地盤の履歴が気になるようになっていた
きれいに区画整理された分譲地、海が見える新しいベイエリアのマンション、駅前の再開発エリア——そういう「新しくて整った街並み」に惹かれる方は多いと思います。その好奇心をほんの少し延長するだけで、実は地盤の見る目も育っていきます。
「液状化に備えなければ」という入口だと身構えてしまいますが、「この街は、もともとどんな場所だったんだろう」「埋め立てられる前は何があったんだろう」という好奇心の入口なら、地図を眺める時間そのものが楽しくなります。
土地の成り立ちに関心を持つ習慣が、そのまま液状化のリスクを見る目にもつながっていきます。
「新しい街だから」と「地盤が強い」は別の話だった
防災士の研修や地域の防災講話の場では、地震の被害について学ぶ機会があります。印象的だったのは「新しく開発された住宅地なのに、地震のあとに敷地や道路の一部が沈んでしまった」という話と、「昔からある古い街並みだったが、地盤自体は安定していた」という話が、どちらも珍しくないという内容でした。
研修の場でよく聞くのは、強い揺れのあと、地面からマンホールが浮き上がったり、駐車場や庭の地面が傾いたりしたという内容です。建物そのものは無事でも、周辺のインフラや地面の状態が大きく変わってしまい、しばらく生活に影響が出たという話を何度も耳にしてきました。
液状化と聞くと特別な現象のように感じますが、実際には「その土地がもともとどんな場所だったか」によって、起こりやすさがある程度決まっているという側面があります。
液状化への備えは、「街の新しさ」ではなく「土地の成り立ち」を知ることから始まります。
液状化は、3つの条件がそろったときに起こりやすい
液状化は、地震の揺れによって地中の砂の粒同士のかみ合わせがゆるみ、地盤が一時的に液体のように振る舞う現象です。次の3つの条件がそろう場所で起こりやすいとされています。
粒がそろった砂質の地盤で、締まり方がゆるい場所ほど液状化が起こりやすくなります。
地表から10m以内など、地下水位が浅く、地盤が常に水を含んだ状態にある場所ほどリスクが高まります。
震度5相当以上の強い揺れが加わったときに、液状化が発生しやすくなるとされています。
この3つがそろう代表的な地形が、埋立地・干拓地・昔の川を埋め立てた土地(旧河道)、砂丘や砂州の間の低地などです。地形そのものに、液状化の起こりやすさが刻まれていることになります。
国土交通省の地図に、液状化の起こりやすさが公開されている
国土交通省・国土地理院の「重ねるハザードマップ」には、「地形区分に基づく液状化の発生傾向図」と「都道府県液状化危険度分布図」というレイヤーが公開されています。自宅や気になる土地の住所を入力し、このレイヤーを表示させてみましょう。
全国を地形(微地形)ごとに分類し、液状化の発生しやすさを5段階程度の強弱で色分けした地図です。細かなボーリング調査の結果ではなく、地形の成り立ちから推定した「傾向」を示すものである点は理解しておきましょう。
都道府県が独自に実施した調査をもとに、より詳細な液状化の危険度を示した地図です。公開している都道府県から順次、レイヤーとして追加されています。
「重ねるハザードマップ」にない情報は、他のサービスで補う
「重ねるハザードマップ」に加えて、次の情報源もあわせて確認しておくと、より安心です。
多くの市区町村が、独自に「液状化マップ」「液状化ハザードマップ」「液状化防災マップ」といった名称の地図を公表しています。「〇〇市 液状化マップ」で検索するか、見つからない場合は自治体の防災担当窓口に確認してみましょう。
住所を入力するだけで、地震・液状化・浸水など複数のリスクをまとめて確認できる無料の診断サービスもあります。あくまで参考情報として、複数の情報源のひとつに位置づけるとよいでしょう。
新築で家を建てる場合は地盤調査(スウェーデン式サウンディング試験など)の結果を確認できます。中古住宅の購入を検討している場合も、可能であれば過去の地盤調査資料の有無を確認しておくと安心です。
色がついていたら、それだけで諦める必要はない
液状化リスクが示されていたからといって、その土地に住めないということではありません。リスクを知ったうえで、次のような視点を持っておくことが大切です。
古地図や地名からも、その土地がもともと田んぼや沼、川だった可能性を確かめることができます。地形・地名・古地図を重ねて読むと、より立体的に土地の特徴が見えてきます。
液状化リスクがある土地でも、地盤改良や基礎の工法によって影響を抑える設計は可能です。気になる土地がある場合は、建築士や地盤調査の専門家に相談してみるのも一つの方法です。
「液状化」という言葉を聞くと難しく感じるかもしれませんが、「この土地は、もともと何だったんだろう」という好奇心から入ると、ぐっと身近に感じられます。
散歩中に見かけた「〇〇新田」「〇〇浜」といった地名、地図で見つけた海沿いの真新しい区画——「この街、もともとどんな場所だったのかな」と気になったときが、いちばん学びやすいタイミングです。
気になったときに地図を開いてみる。それだけの積み重ねで、土地を読む力は自然と育っていきます。
まず1つだけ、今日確認する
すべてを一度に確認する必要はありません。今日できることを1つだけ選んでみてください。
「重ねるハザードマップ」で自宅・気になる土地の住所を検索し、液状化の発生傾向図を確認する
「〇〇市 液状化マップ」で検索し、自治体独自の情報が公表されていないか調べてみる
気になる土地があれば、地名や古地図もあわせて確認し、土地の成り立ちを1つ知っておく
「全部を一度に調べる」と思うと動けなくなります。まずはスマホでハザードマップを開くところからです。
とらまるくんと考えてみよう
「液状化に備えなければ」と身構えるより、「この街は、もともとどんな場所だったんだろう」という好奇心のほうが、ずっと長続きします。
新しい街並みに惹かれる気持ち、海の見えるベイエリアへの憧れ——好きな景色を眺めているうちに、気づけば土地を読む力が育っていた。そういう暮らしの設計が、私の理想です。まずは今日、ハザードマップを開くところから。
液状化リスク よくある質問
液状化マップに色がついていない地域は、安心して良いですか?
「重ねるハザードマップ」の液状化レイヤーは、地形をもとにした「傾向」を示すものであり、すべての地域を網羅しているわけではありません。色がついていない場合も、自治体独自の液状化マップや地盤調査の記録もあわせて確認しておくとより安心です。
新しく開発された分譲地でも、液状化のリスクはありますか?
あります。街の新しさと地盤の強さは別の話です。開発される前にその土地がどのような場所だったか(埋立地・旧河道など)によって、リスクの傾向が異なります。分譲時の資料や自治体の情報もあわせて確認してみましょう。
液状化のリスクが高いとわかったら、その土地には住めませんか?
リスクが高いからといって、必ずしも住めないわけではありません。地盤改良や基礎の工法によって影響を抑える設計も可能です。気になる場合は、建築士や地盤調査の専門家に相談することをおすすめします。
中古住宅を購入する前に、液状化リスクをどう確認すればいいですか?
「重ねるハザードマップ」と自治体の液状化マップの両方を確認したうえで、可能であれば売主や仲介会社に過去の地盤調査資料の有無を確認するとよいでしょう。周辺の道路や塀に傾き・ひび割れがないかを見ておくことも参考になります。
この記事のポイント
- 液状化は「ゆるい砂地盤」「浅い地下水位」「強い揺れ」の3条件がそろったときに起こりやすい。
- 埋立地・干拓地・旧河道・砂丘や砂州の間の低地などは、液状化が起きやすい地形とされている。
- 国土交通省「重ねるハザードマップ」では、液状化の発生傾向図・都道府県の危険度分布図を住所検索で確認できる。
- 自治体独自の液状化マップや無料の地盤診断サイトもあわせて確認すると、より安心できる。
- リスクが示されていても、地盤改良や基礎の工法など、専門家に相談できる選択肢がある。
まとめ
整然とした新しい街並みが好きで、つい海の見えるベイエリアのマンションに目が留まる。地図でその土地の歴史を眺めているうちに、いつの間にか時間が経っている。そういう「新しい街並みが好き」という感覚が、そのまま液状化のリスクを見る目にもつながっていく——それがこの記事の目指したかたちです。
液状化への備えは、街の新しさだけで測れるものではありません。土地がもともとどんな場所だったかに気づけるようになれば、それだけで見える景色が変わります。あとはハザードマップで答え合わせをするだけです。
今日、まずスマホでハザードマップを開いてみてください。液状化の発生傾向図を確認してみることが、土地を知ることの入口になります。
日常を整えることが、そのまま非常時の安心につながる。
とらまる
一緒に学ぶ仲間
白いしっぽの先がチャームポイントの、好奇心いっぱいのトラの子。わからないことは素直に「どうして?」と聞くのが得意で、みんなの「聞きたいけど聞けない」を代わりに聞いてくれます。
ふくぼう先生からもらった「まなびのスカーフ」が自慢です。
▶ とらまるのプロフィールはこちら ›関連記事
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いただいたご質問は、今後の記事づくりの参考にさせていただきます
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