のどがイガイガする夜にはちみつを選ぶ、実は理にかなっていた
STEP3|暮らしの設計図
のどがイガイガする夜にはちみつを選ぶ、実は理にかなっていた
のどの調子が気になる夜、温かいお茶やお湯にはちみつを溶かして飲む——そんな習慣を、なんとなく続けていませんか。
「昔からの言い伝えだから」「なんとなく喉に優しい気がするから」——それだけで片付けていませんか。国際中医薬膳師の視点も交えながら、今日は一緒に整理していきましょう。
30秒でわかるまとめ
このページが目指すこと
はちみつを飲めば必ず咳が治まる、という話が目的ではありません。はちみつが肺や腸を潤す食材として位置づけられてきた背景と、咳への作用に関する研究を知った上で、安全に取り入れるための注意点もあわせてお伝えすることが目標です。
今日はまず、中医薬膳における「潤す」という考え方から一緒に確認していきましょう。
この記事でわかること
- 中医薬膳におけるはちみつの「肺や腸を潤す」という考え方
- 海外の比較試験で報告されている、はちみつと子どもの咳への作用
- マヌカハニーのMGOによる抗菌作用と、咳への作用との違い
- 1歳未満の乳児にはちみつを与えてはいけない理由
- お弁当の梅干し、実は「傷みにくくする」ための知恵だったとあわせて考える、体を潤す食材の視点
「のどがイガイガする夜にはちみつを飲むのって、昔からの言い伝えだから、ってだけなんだよね?」
実は、海外の研究でも、はちみつをとった子どもの咳が和らいだという報告があるんです。
ただし、1歳未満の赤ちゃんには、はちみつを与えてはいけないという大切な注意点もあるんですよ。
「昔からの言い伝え」だと思って選んでいたはちみつに、理由があった
のどの調子が気になる夜、温かいお茶やお湯にはちみつを溶かして飲む——そんな光景は、多くの家庭で当たり前のように見られてきました。「おばあちゃんがそう言っていたから」「なんとなく喉に優しい気がするから」という理由で、なんとなく選んでいる方も多いのではないでしょうか。
「はちみつを飲めば咳が治ります」という入口だと身構えてしまいますが、「なんとなく喉に良い気がするから」という理由で選んでいたはちみつが、実は理にかなった昔ながらの知恵になっていた——そんな順番なら、無理なく続けられます。
好きで選んでいた夜の習慣が、気づけば体をいたわる工夫にもなっていた。それが、この記事でお伝えしたい考え方です。
温かい飲み物に溶かすはちみつ、その理由を聞かれたら
のどがイガイガする夜、温かいお茶やお湯にはちみつを溶かして飲む。この習慣は、昔から当たり前のように見られてきた光景ではないでしょうか。
実際、なぜはちみつを選ぶのかを聞かれたら、「昔からの言い伝えだから」「なんとなく喉に優しい気がするから」と答える方がほとんどだと思います。それ自体、間違いではありません。はちみつに肺や腸を潤す働きがあるとされていること自体は、複数の解説記事でも確認できます。
ただ、このありふれた習慣には、なんとなくの言い伝えだけでは説明のつかない、もう一つの側面があるといわれています。「はちみつをとれば喉に良い」という単純な思い込みだけでは片付けられない話が、実はあります。
ここからは、東洋医学と西洋医学、それぞれの視点から確かめていきましょう。
食材選びを、東洋医学(中医薬膳)と西洋医学・栄養学、両方の視点から見ていきます。一方だけに偏らず、両方の視点を知っておくと、日々の食材選びがより納得できるものになります。
1つ目|東洋医学(中医薬膳)の「潤す」という考え方を知る
中医薬膳の考え方では、はちみつは五味が「甘」、五性が「平」に分類され、帰経は「脾・胃・肺・大腸」とされる食材として、古くから位置づけられてきたといわれています(出典:クラシエ「薬膳食材図鑑|はちみつ」)。潤肺(肺を潤す)・潤腸(腸を潤す)と呼ばれる作用があるとされ、咳や便秘、皮膚の乾燥が気になるときに利用できるといわれています。また胃腸を整える作用もあるとされ、消化不良や便秘の方に向くと紹介されています。
はちみつ・梅干し・白きくらげなど。乾燥が気になる季節や、のどの調子が気になるときに取り入れられてきた食材です。
2つ目|西洋医学・栄養学のエビデンスも合わせて見てみる
東洋医学の視点だけでなく、西洋医学や栄養学の視点からも、はちみつの位置づけを見てみましょう。
米国のPaul IMらが2007年にArchives of Pediatrics & Adolescent Medicine誌で発表した研究では、100人以上の子どもを対象に、就寝前のはちみつ・市販の咳止め・何もしない群を比較したところ、はちみつをとった子どもで咳の減少が報告されています。またCohen HAらが2012年にPediatrics誌で発表した、より大規模な比較試験でも、ユーカリ・柑橘系・シソ科などのはちみつをとった子どもで咳が和らぎ、あわせて保護者の睡眠の質も改善したと報告されています。複数の研究をまとめた分析では、はちみつは何もしないより咳に効果的で、既存の咳止めと大きな差はないと示唆されています。
消費者庁および厚生労働省は、1歳未満の乳児にはちみつを与えないよう明確に注意喚起しています。乳児は腸内環境が未発達なため、はちみつに含まれることがあるボツリヌス菌の芽胞が腸内で増殖し、乳児ボツリヌス症を引き起こすことがあるためです。1歳を過ぎ、離乳食などで腸内環境が整う時期になれば、はちみつを避ける必要はないとされています。この記事で紹介する内容は、1歳以上の方を対象としています。
スーパーやコンビニに並ぶ「はちみつ」には、実は2つのタイプがあります。花の蜜だけからできた「純粋はちみつ」と、水あめや砂糖などを加えて量を増やした「加糖はちみつ」「はちみつ加工品」です。どちらが悪いというわけではありませんが、この記事で紹介してきた東洋医学や栄養学の話は、基本的に純粋はちみつを念頭に置いたものです。パッケージの原材料表示を見て、「はちみつ」だけが書かれているか、それとも「水あめ」「砂糖」なども並んでいるかを、買うときにひと目確認してみる。それだけで、選び方に迷わなくなります。
さらにこだわりたい方向けの目安として、マヌカハニーのようにMGO(メチルグリオキサール)という成分の含有量をもとに、抗菌作用の強さをMGO値やUMF値で表示している商品もあります。Mavricらが2008年に発表した研究など、マヌカハニー特有の抗菌作用そのものの裏付けは比較的充実しています。ただし、これは菌に対する働きを調べた研究であり、先ほど紹介した咳への作用の研究とは対象が異なります。「マヌカハニーを選べば咳に効く」と直結させるものではない、という点だけは、はっきりお伝えしておきたいところです。まずは純粋はちみつかどうかを確認し、そのうえで気になる方が選択肢のひとつとして知っておく、くらいの気持ちで十分です。
習慣・東洋医学・西洋医学、3つの視点が同じ方向を示している
ここまでを振り返ってみましょう。誰もが当たり前のように見てきた「のどがイガイガする夜にはちみつを選ぶ」という習慣は、なんとなくの言い伝えの理由だけで語られがちでした。しかし東洋医学では、はちみつは肺や腸を潤す食材とされてきました。西洋医学的には、複数の比較試験で子どもの咳への作用が報告されています。出発点はそれぞれ違いますが、「はちみつには理にかなった理由がある」という結論は同じ方向を示しています。ただし、1歳未満の乳児には与えられないという注意点は、どの視点よりも優先される大切なルールです。
ひとつの視点だけで判断するのではなく、体験・伝統的な知恵・科学的な知見という複数の視点が同じ方向を示しているとき、その情報はより納得できるものになります。この記事ではちみつを例に取り上げたのも、そうした重なりがわかりやすい食材だったからです。
3つ目|はちみつと、体を潤す食材の共通点
はちみつは五性が「平」に分類される、体に負担をかけにくい食材のひとつです。乾燥や渇きを潤すという考え方は、梅干しなど他の食材にも共通しています。
はちみつ・梅干し・白きくらげなど。いずれも体を潤すとされる食材で、空気が乾燥する季節や、のどの調子が気になるときの体調管理に取り入れやすい食材です。
4つ目|場面に合わせた、はちみつの取り入れ方
特別なレシピを覚える必要はありません。温かいお茶やお湯にはちみつを溶かして飲む。ヨーグルトやトーストにひとさじ加える。就寝前にスプーン1杯をそのままとる、という取り入れ方もよく知られています。
はちみつは適切に保存すれば品質が長く保たれやすい食材としても知られており、ローリングストックの考え方にもなじみやすい食材です。ただし、1歳未満の乳児には与えないこと、糖分の摂りすぎには気をつけることも、あわせて意識しておきたいポイントです。
国際中医薬膳師の視点でも、栄養学的な視点でも、はちみつは体をいたわる食材として位置づけられています。
「昔からの言い伝えだから」と割り切ってしまうより、「肺や腸を潤す働きもある」と知っておく方が、結果的に役立つ知恵になると感じています。ただし、1歳未満の乳児には与えられないという注意点だけは、どうか忘れないでください。
今日からできる、3つの小さな一歩
すべてを一度に見直す必要はありません。まずは1つだけ試してみてください。
のどの調子が気になる夜、温かい飲み物にはちみつを溶かして飲んでみる
ヨーグルトやトーストに、はちみつをひとさじ加えてみる
1歳未満の赤ちゃんがいるご家庭では、はちみつを使ったメニューを分けて用意する
まずは今日の夜、ひとつ試してみるところから。それだけで十分な一歩です。
とらまるくんと考えてみよう
昔ながらの習慣には、ちゃんと理由があることが多いんです。
好きな夜の習慣を続けていたら、気づけば体をいたわる工夫にもなっていた。それくらい気軽に考えてもらえたら嬉しいです。でも、1歳未満の赤ちゃんには与えないでくださいね。
はちみつと薬膳 よくある質問
はちみつを飲めば、必ず咳が治まりますか?
海外の研究では、はちみつをとった子どもで咳の減少が報告されていますが、飲めば必ず咳が治まるというわけではありません。長引く咳や強い症状がある場合は、医療機関に相談することをおすすめします。
どんなはちみつを選べばいいですか?マヌカハニーを選べば咳への効果は高まりますか?
まずは原材料表示を見て、水あめや砂糖を加えていない「純粋はちみつ」かどうかを確認することをおすすめします。マヌカハニー特有のMGOによる抗菌作用の研究は充実していますが、これは菌に対する働きを調べた研究であり、咳への作用を直接裏付けるものではありません。純粋はちみつを選んだうえで、気になる方が選択肢のひとつとして知っておく、くらいで十分です。
1歳未満の赤ちゃんにはちみつを与えてはいけないのはなぜですか?
乳児は腸内環境が未発達なため、はちみつに含まれることがあるボツリヌス菌の芽胞が腸内で増殖し、乳児ボツリヌス症を引き起こすことがあるためです。消費者庁・厚生労働省も、1歳未満の乳児には与えないよう明確に注意喚起しています。1歳を過ぎれば、避ける必要はないとされています。
なぜ習慣・東洋医学・西洋医学の3つを紹介しているのですか?
ひとつの視点だけで判断するより、出発点の異なる複数の視点が同じ方向を示しているときの方が、情報として納得しやすいと考えているためです。習慣だけでも、理論だけでも、どちらか一方に偏らないようにお伝えすることを心がけています。
この記事のポイント
- 中医薬膳の考え方では、はちみつは肺や腸を潤す食材とされる。
- 海外の比較試験で、就寝前にはちみつをとった子どもの咳の減少が報告されている。
- 選ぶときは、まず原材料表示で「純粋はちみつ」かどうかを確認する。マヌカハニーのMGOによる抗菌作用は、咳への作用とは異なる研究であることにも注意する。
- 1歳未満の乳児には、乳児ボツリヌス症のリスクがあるため、はちみつを与えてはいけない。
- 習慣・東洋医学・西洋医学、出発点の異なる3つの視点が同じ方向を示すとき、情報への納得感が増す。
- 今日、まずは温かい飲み物にはちみつを溶かして飲んでみるところから始める。
まとめ
はちみつを取り入れる工夫は、特別な健康法を始めることではありませんでした。
「のどがイガイガする夜にはちみつを選ぶ」という、誰もが当たり前に見てきた習慣。「はちみつは肺や腸を潤す」とする東洋医学の考え方、「就寝前のはちみつで子どもの咳が和らいだ」という西洋医学的な報告。3つの視点が同じ方向を示していたことが、この習慣の納得感を後押ししてくれます。ただし、1歳未満の乳児には与えられないという注意点だけは、どうか忘れないでください。
今日、まずは温かい飲み物にはちみつを溶かして飲んでみてください。それだけが、無理なく続く体をいたわる工夫の入口になります。
日常を整えることが、そのまま非常時の安心につながる。
とらまる
一緒に学ぶ仲間
白いしっぽの先がチャームポイントの、好奇心いっぱいのトラの子。わからないことは素直に「どうして?」と聞くのが得意で、みんなの「聞きたいけど聞けない」を代わりに聞いてくれます。
ふくぼう先生からもらった「まなびのスカーフ」が自慢です。
▶ とらまるのプロフィールはこちら ›関連記事
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