断水でトイレが流せないとき、携帯トイレも一緒に備えておく
STEP3|暮らしを整える
断水でトイレが流せないとき、携帯トイレも一緒に備えておく
携帯トイレは、1人あたり35回分(7日分)を目安に備えておくとよいとされています。トイレットペーパーのストックと同じ感覚で、普段の棚に置いておけば、断水した日でも慌てずに済みます。
断水したときの洗い物の備えについては、以前の記事でお伝えしました。今日は、その中でも見落とされがちな「トイレ」に絞って、一緒に考えてみましょう。
30秒でわかるまとめ
このページが目指すこと
「特別なトイレ用品を新しく揃える」というより、「流していいかどうかの見極め方」と「携帯トイレの使い方」を知っておくことで、断水した日も落ち着いて過ごせるようになることを目指します。
まずは、ご自宅に携帯トイレがあるかどうかを思い出すところから、一緒に確認していきましょう。
この記事でわかること
- 断水したときに、トイレを流してもいいかどうかの見極め方
- 携帯トイレの具体的な使用手順
- 携帯トイレを備えておく量の目安と、わが家に合った数量の調べ方
- 衛生面の備えの中で、トイレが特に優先度が高いといわれている理由(「TKB」という考え方)
- 集合住宅にお住まいの場合に、特に注意しておきたいこと
- 断水で洗い物ができないときの備えとあわせて考える視点
「断水したら、水が使えなくなるのはわかるけど、トイレも困るの?」
実は、断水したその日から一番先に困るのがトイレだった、という声をよく聞くんです。
流していいかどうかの見極め方と、携帯トイレの使い方さえ知っておけば、落ち着いて対応できますよ。今日は、そこを一緒に見ていきましょう。
トイレの備え、実は後回しになりがち
トイレットペーパーや洗剤のストックは切らさないようにしている、という方は多いのではないでしょうか。
同じ棚に、携帯トイレも1パック置いておく。それだけで、断水した日に慌てずに済む備えになります。
難しいことをする必要はありません。いつもの収納をちょっと整えるだけで、備えは自然と整っていきます。
トイレットペーパーを切らさない人ほど、実は備えもできている。それが、この記事でお伝えしたい考え方です。
食事のことはみんな考えていたのに、トイレは後回しにされていた
長年の消防活動の中で、緊急消防援助隊として大きな災害の現場に派遣される機会が何度かありました。
現地に向かう道中も、休憩のたびにも、食事や水の話題はよく出ます。それだけ、多くの人が食料や水については自然と意識できているのだと思います。けれど、トイレのことが話題になる場面は、当時はそれほど多くありませんでした。実際に現場に入ってみると、トイレの環境がなかなか整わず、多くの方が苦労している様子を目にすることになりました。
食べたら出る。それは、生理現象として当たり前のことです。それでも、どこか「後回し」にされやすいのが、トイレという備えなのだと、現場で強く感じました。
衛生面の備えの中でも、トイレは特に優先度が高いものだと、現場で学びました。
1つ目|断水したら、まず確認したいこと
断水や地震のあとにまず気になるのが、「トイレは流していいのか」という点です。
東京都下水道局は、下水道管や排水設備に破損がある場合、無理に流すと「下水が詰まって汚水が逆流したり、破損したところから噴出することがあります」と案内しています。水道の断水だけであれば流せる場合もありますが、地震などで排水管そのものが傷んでいる可能性があるときは、様子がおかしくないかを確認してから使うことが大切です。
マンションなど集合住宅の場合、排水設備は各家庭の財産にあたるため、修理や維持管理は所有者の負担になります。心配なときは、まず管理会社に相談しましょう。「家のトイレが使えない場合は、携帯用トイレや区市町村が用意したトイレを利用しましょう」とも案内されており、判断に迷うときほど、携帯トイレという選択肢があることが安心につながります。
2つ目|携帯トイレ、実はこんな手順で使う
携帯トイレは、備えておくだけでなく使い方を知っておくと、いざというときに落ち着いて対応できます。東京都保健医療局が案内する手順は、次のとおりです。
①便座を上げて「下地用ゴミ袋」をかぶせ、便座を下ろす
②「排泄用ゴミ袋」をかぶせた状態で用を足す
③凝固剤を入れて固める(種類により使い方が異なるため説明書に従う。凝固剤がない場合は新聞紙やペット用シートでも代用できるとされています)
④袋の口を縛り、蓋つきのごみ箱に一時保管し、お住まいの自治体の案内に沿って処分する
BOS(ボス)防臭袋
使用済みの携帯トイレの袋は、においを漏らしにくいとされる防臭袋でもう一重包んでおくと、においが気になりにくくなったと感じている、というのがふくぼう先生自身の実感です。夏場の生ごみ入れとしても日常的に使えるため、ふだん使いのまま、いざというときの備えにもなります。
※効果の感じ方には個人差があります。用途に合わせてサイズ・容量をご確認のうえお選びください。
3つ目|携帯トイレ、どのくらい備えればいいか
備蓄の目安として、経済産業省は「1人あたり35回分(7日分)の災害時トイレの備蓄が必要」と案内しています。1日5回として計算した数字で、家族の人数分をかけ算すると、必要な数量が見えてきます。
35回×家族の人数=必要な備蓄数の目安
(例:4人家族なら35回×4人=140回分)
35回という数字はあくまで目安です。トイレの使用回数は、家族の年齢や体調によっても差があります。トイレにメモ用紙を1枚置いておき、大・小それぞれ何回使ったかを「正」の字で数日間数えてみると、わが家に合った現実的な数量が見えてきます。
食料品と同じように、トイレットペーパーや洗剤を置いている棚の一角に携帯トイレも並べておく。日常の収納をちょっと整えるだけで、備えの量も自然と目に入るようになります。
4つ目|衛生面の備えの中でも、トイレは特に優先度が高いと言われている
内閣府の避難所トイレガイドラインでは、過去の大きな地震を振り返り、「水、食料、毛布、医薬品の確保が優先され、トイレの対応は後回しとなった」ことが指摘されています。
同じ資料では、トイレの使用がためらわれることで排泄を我慢し、それが水分や食事を控えることにつながり、脱水症状や静脈血栓塞栓症(いわゆるエコノミークラス症候群)などの健康面のリスクにつながる場合があるとも指摘されています。ある地震では「トイレが不安で水を飲むことを控えた」と答えた方が3割を超えていたという調査結果も紹介されています。
一般社団法人 避難所・避難生活学会は、トイレ・キッチン・ベッドの頭文字をとった「TKB」を、災害発生から48時間以内に整えたい3つの備えとして提唱しています。海外の被災地では、大きな地震のあとでも比較的早い段階で快適なトイレ・温かい食事・簡易ベッドが整えられる例が紹介されており、日本でもこの考え方が少しずつ広がっています。
現場では、食事や水の話題はよく出るのに、トイレのことはなかなか話題に上らない、という場面に何度も立ち会ってきました。
「TKB」という考え方があるように、トイレ・キッチン・ベッドは、どれも欠かせない備えです。その中でもトイレは、我慢のきかない生理現象だからこそ、真っ先に整えておきたい備えだと考えています。
今日からできる、3つの小さな一歩
すべてを一度に見直す必要はありません。まずは1つだけ確認してみてください。
トイレットペーパーの隣に、携帯トイレを1パック置いてみる
トイレにメモ用紙を置き、大・小それぞれの使用回数を数日間「正」の字で数えてみる
集合住宅にお住まいなら、排水設備の状態を管理会社に確認しておく
まずは携帯トイレの在庫を確認するところから。それだけで十分な一歩です。
とらまるくんと考えてみよう
トイレットペーパーを切らさないのと同じ感覚で、携帯トイレも棚に置いておく。それだけで、断水した日の安心感がずいぶん変わってくると考えています。
流していいかどうか迷ったときは、無理をせず携帯トイレに切り替える。その判断も、立派な備えのひとつです。
断水とトイレ よくある質問
断水したら、すぐにトイレの水を流してはいけないの?
水道の断水だけであれば流せる場合もありますが、地震などで排水管が傷んでいる可能性があるときは注意が必要です。東京都下水道局は、排水設備が破損していると汚水の逆流や噴出につながることがあると案内しています。様子がおかしいと感じたら、無理に流さず携帯トイレに切り替えることをおすすめします。
携帯トイレは何回分くらい備えればいいの?
経済産業省は1人あたり35回分(7日分)を目安としています。家族の人数をかけ算して、普段の収納スペースに無理なく置ける数量から揃えていくとよいでしょう。
凝固剤がない場合はどうすればいい?
東京都保健医療局の案内では、凝固剤がない場合は新聞紙やペット用シートで代用できるとされています。手元にあるもので工夫できる点も覚えておくと安心です。
マンションに住んでいる場合、特に注意することは?
排水設備は各家庭の財産にあたるため、災害時であっても修理や管理は所有者の負担になります。東京都下水道局は、集合住宅の場合は管理会社への相談を勧めています。
目安の35回より、実際の使用回数が多い・少ない場合はどうすればいい?
35回(7日分)はあくまで目安です。トイレにメモ用紙を置き、大・小それぞれの使用回数を数日間「正」の字で数えてみると、ご家庭の実情に合った数量が見えてきます。目安の数字と、実際の回数の両方を参考にしてみてください。
においを抑えるグッズはありますか?
使用済みの携帯トイレの袋は、においを漏らしにくいとされる防臭袋でもう一重包んでおくと、においが気になりにくくなったと感じている、というのがふくぼう先生自身の実感です。効果の感じ方には個人差がありますので、用途に合わせてお選びください。
「TKB」って何ですか?
一般社団法人 避難所・避難生活学会が提唱する考え方で、トイレ・キッチン・ベッドの頭文字をとったものです。災害発生から48時間以内にこの3つを整えることを目指す考え方で、海外の被災地の事例をきっかけに、日本でも少しずつ広がっています。
この記事のポイント
- 排水管が破損していると、無理にトイレを流すと汚水の逆流・噴出につながることがある。
- 家のトイレが使えないときは、携帯トイレや自治体が用意したトイレを利用する。
- 携帯トイレの使い方(下地袋→排泄用袋→凝固剤→処分)を知っておくと落ち着いて対応できる。
- においを漏らしにくいとされる防臭袋を使用後の袋にもう一重重ねると、においが気になりにくくなる。
- 備蓄の目安は1人あたり35回分(7日分)。あわせて実際の使用回数を数えると、より確実な数量がわかる。
- 衛生面の備えの中でも、トイレは特に優先度が高いといわれている(「TKB」という考え方)。
- 今日、まずはトイレットペーパーの隣に携帯トイレを置いてみるところから始める。
まとめ
トイレの備えは、水や食料の備えほど目立ちませんが、断水した瞬間から必要になる備えです。衛生面の備えの中でも、トイレは特に優先度が高いといわれており、「TKB」という考え方が広がっているのも、その表れだと思います。
排水管の状態を確認し、無理に流さない判断をすること。携帯トイレの使い方を知っておくこと。1人あたり35回分(7日分)を目安にしつつ、実際の使用回数も数えてみること。この3つを押さえておくだけで、いざというときの安心感が変わってきます。
トイレットペーパーを切らさないのと同じ感覚で、携帯トイレも普段の棚に置いておく。今日、まずはその1パックから始めてみてください。
日常を整えることが、そのまま非常時の安心につながる。
とらまる
一緒に学ぶ仲間
白いしっぽの先がチャームポイントの、好奇心いっぱいのトラの子。わからないことは素直に「どうして?」と聞くのが得意で、みんなの「聞きたいけど聞けない」を代わりに聞いてくれます。
ふくぼう先生からもらった「まなびのスカーフ」が自慢です。
▶ とらまるのプロフィールはこちら ›関連記事
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